筆者の勝手な2020年版Linuxランキング・ベスト10



さて毎年の恒例ですが・・・2020年中に筆者が投稿したLinuxを対象に筆者の勝手な2020年Linuxランキングベスト10について発表します。

2020年において最も大きなトピックスは、やはりUbuntu長期サポート版Ubuntu 20.04 LTS及びそのフレーバーのリリースです。このリリースの大きな機能拡張項目の中で、パッケージ管理の仕組みとしてDebパッケージに加え、snapを加えてきた点は大きかったものと思います。ただし、ubuntuをベースとしたLinux distributionのsnapの採用に関しては、Linux Mintに代表されるように否定的なものも少なくないため、今後注視していく必要があります。

次にUbuntu 20.04 LTSベースのLinuxに関しては昨年中のリリースがかなり限定的なものとなりました。

まずPeppermint OSに関しては、2020年頭にプロジェクトマネージャーが亡くなった事により、通常ならば、Ubuntu LTSリリース後2か月以内にLTSベースに対応したバージョンアップが行われますが、Ubuntu 20.04 LTSベースのPeppermint 11は、未だリリースされていません。また、LubuntuベースのLXLEに関しては、Lubutnu 20.04 LTSがLXQtベースになった影響で、次期LXLEのDEをどうするのかという議論が継続して行われていましたが、未だ決着していない状況です。次に、世界的に人気の高いelementary OSに関しても、大幅な機能強化が予定されているUbuntu 20.04 LTSベースelementary 6.0のリリースは昨年中に行われる事はありませんでした。少なからずコロナ禍がUbuntuベースのリリースに影を落としていた事は否めません。他、高機能Zorin OS、超軽量タイプBodhi LinuxのUbuntu 20.04 LTS対応も、本年以降に持ち越される結果となっています。

次にDebian baseに関してですが、Debian 10 "Buster"ベースの各Linuxの設定プロセスが固定化してきた事もあり、昨年中のDebian baseの投稿数は減少する結果となりました。

Archベースでは、特にManajroに関する投稿数が結果的に増えましたが、特に各DEによらない共通設定プロセスを中心にまとめていく事に注力しました。Manjaroの場合、Arch、他のArchベースと比較して遥かに安定しており、他Archパッケージ、AUR、flatpak、snapをpamacで一元管理できる仕組みを提供しているため、非常に扱いやすくなった事が大きな改善点として挙げられます。

さて2020年筆者の勝手なLinxuランキング・ベスト10ですが、いつものようにUbuntu本体及びそのフレーバーに関しては、対象に含めません。

ただし、例外としてLubuntu 20.04 LTSに関しては他のフレーバーと比較してかなり出来が良くないため、間違いなく上位になる・・という事は無いと判断し、今回のランキング対象にあえて含める事にしました。基本的に筆者の評価をベースとしたランキングであり、アクセス数はあまり考慮していません。。

と・・言う事で、まずは10位から・・

第10位:Lubutnu 20.04 LTS


LubuntuがLXDEからLXQtにDEを変更した最初の長期サポートバージョンとなります。日本語化は、ほぼ手作業という事もあって、20.04 LTSのフレーバーの中で唯一プロダクション品質に到達していないという評価をした1本となっています。

課題としては、日本語化プロセスの自動化につきますが、少なくともsparkylinux LXQt editionのような初期設定方式を採用する等の工夫・改善が求められます。

本ブログにおいて昨年のアクセス数を見ると、Lubuntu 20.04 LTSの投稿記事がダントツの1位となっている事から、国内においては人気が極めて高い事が伺われます。各国語サポートの不出来が今後継続するようならば、この人気の高さに影が生じる可能性がありますので頑張ってもらいたい所です。設定後の環境は◎で、軽快に動作しますが、フレーバーの割にあまりのお粗末な日本語化プロセス(手作業)のため、ランキング第10位は致し方ありません。

本ブログ内の投稿記事→https://www.linux-setting.tokyo/2020/04/lubuntu-2004-lts-focal-fossa.html


第9位:Q4OS 3.x、4.x


3.xが、Debian 10 Buster stableベース、4.xが、Debian 11 "bullseye" testingベースとなります。

Q4OS 4.0から設定プロセスがほぼ固定化しました(3.xも同じ設定プロセスで概ねいけます)。TDE(Trinity Desktop Environment)ではなくKDEがデフォルトデスクトップとなりましたが、軽さを求めるなら無論TDEに変更すべきです(3.xではTDE editionのisoファイルがありますが、KDEデスクトップ環境から以下本ブログの投稿記事に沿ってTDEに変更できます)。

最新のDebian 10.7 "Buster" stableベースの Q4OS 3.13 "  Centaurus"の TDEでは起動直後のメモリー使用量が、382MBと超軽量Linux Distributionの分類に入りますので、旧型PCで使用するには最適な1本となります。非常に軽快で機能性も割に高い事からお勧め度は高いのですが、全体的に設定手順は煩雑となります(ただし慣れれば問題ないレベルです)。このため、ランキング第9位としました。

本ブログ内の投稿記事→https://www.linux-setting.tokyo/2020/02/q4os-40-debian-11bullseye-testing-q4os.html


第8位:Debian 10.7 LXQt edition


一昨年に投稿すべきだった1本ですが、Wifi設定が特殊であり、一端断念し、昨年末にそういえば・・という事で再度チャレンジして取り上げました。Wifi接続を使ってインストールし、実使用環境でもWifiを使用する設定方法を本ブログの投稿記事では取り上げていますが設定の難易度は低くありません。


LXQtでは一般的にWindow managerとしてOpenBoxを使用する事が多いのですが、Debian 10.7 LXQt editionではXfce4のxfwm4を使用している所に特徴があります。Openboxよりもcomposite managerの取り扱いが楽ですが、Openbox+compton構成時のような派手なWindow効果はデフォルトでは行えません。

デフォルトで設定される日本語入力環境はscim-mozcであり、flatpakアプリケーションでも日本語入力は問題なく行えます。アプリケーションの日本語化は一部手動で必要となります。

login直後の使用メモリーは、Q4OSよりも少なく、343MBとこれもまた超軽量Linux distributionの分類に入り、旧型PCで使用するには最適な1本となります。

やはりWifi接続によるインストールや、インストール後のWifi接続設定は難易度が高い方に入ります。ただし日本語化の箇所は手間はかからない部類に入ります。非常に軽快に動作しますが、2020年度のランキングの中では、wifiインストール、Wifi接続設定の難易度の高さが足を引っ張り第8位とさせていただきました。

本ブログ内の投稿記事→https://www.linux-setting.tokyo/2020/12/debian-107-buster-debian-107lxqt.html


第7位:MX Linux 19.x


Debian 10 "Buster" stableベースのMX Linux 19.xについては現時点での最新が19.3となっていますが設定方法については概ね変更点はなく設定プロセスが固定化した1本となっています。
Conky managerを含み、非常に高機能で軽快な世界的に人気の高いDistributionです。他にKDE editionが存在します。

ただし、19.3にpre-installされるFirefoxについては、日本語化パッケージを導入しても反映されず、Firefox各種メニュー等の日本語化が行われません。flatpakによりfirefoxをインストールしなおすと、メニュー等の日本語化は行われるものの、特殊な処理を行わない限りfcitx-mozcによる日本語入力ができないため、現時点でのベスト解は、Firefox-esrとその日本語化パッケージをsynaptic等から導入する事となります。

非常に高機能&軽快なDistributionとなりますが、設定の難易度は低くありません(ただし設定プロセスは安定しています)。非常に高機能で軽快に動作しますが、Firefoxの日本語化部分の問題が収拾しなかった事が大きく、今年は、第7位とさせて頂きました。

MXの設定に関しては、MX 19.2 Xfce editionの投稿記事を、Firefoxの日本語化代替(firefox-esrのインストール)に関してはMX 19.2 KDE editionの投稿記事を参照ください。

本ブログ内の投稿記事(Xfce edition)→https://www.linux-setting.tokyo/2020/06/mx-linux-192-mx-linux.html

本ブログ内の投稿記事(KDE edition)→https://www.linux-setting.tokyo/2020/08/mx-linux-192-kde-edition-mxkde.html


第6位:sparkylinux 2020.x

Debian 11 "bullseye" testingベースのsparkylinuxとなります。DEとしてはLXQtとXfce4が選択できます。他に、Debian 10 ”Buster”ベースのsparkylinux 5.xが存在します。現時点での最新バージョンはそれぞれ、2020.12、5.13となります。日本語化、IMの設定は初期設定方式でカバーしており、非常に平易に初期設定、日本語入力環境fcitx-mozcの導入・設定を含む日本語化が完了します。また、設定プロセスも安定しているため、扱いやすい所が◎です。LXQt環境をDEとして選択した場合、非常にスタンダードなLXQt構成であるため、LXQt環境をこれから触る方には最適な1本となります。逆にスタンダードであるが故に面白さという観点ではマイナスポイントとなります。sparkylinuxのランキングは第5位とかなり迷いましたが、5位のLinuxの出来が全体的によかった・・という事で、今回は第6位とさせて頂きました。

本ブログ内の投稿記事https://www.linux-setting.tokyo/2020/09/sparkylinux-202009-debian-bullseye.html


第5位:Linux Lite 5.x


Ubuntu 20.04 LTSベース、DEとしてXfce 4.14を採用した、軽快・高機能・スタイリッシュなDistributionとなります。最新バージョンは5.2。機能性はLinux Mintに匹敵します。注意としてホームフォルダー名を日本語にしてしまうとLiteの機能の中で使えないものが発生しますので、英語のままにしておく事が必要です。日本語input method iBus-mozcのインストール・設定、アプリケーションの日本語化はlanguage supportを使用すれば完了するタイプですので、平易な部類に入ります。

5.2になって、特にfirewallの設定箇所が設定マネージャに含まれる事により、コマンドレスで行えるようになりましたが、他の設定箇所は、Lite 5.0の投稿記事の内容で概ねカバーできます。

Mintと比較し、設定部分が若干煩雑ですが、スタイリッシュな外観はMintを凌駕します。日本語化の設定箇所が、Mint並みになれば、1位を狙える位置にいますが、もともとEnglishフォーカスのDistributionであり、ホームホルダー名を日本語にしてしまうとLiteの機能が使えなくなる点等、注意すべき事項もある事から、今回のランキングとして第5位とさせて頂きました。

本ブログの投稿記事→https://www.linux-setting.tokyo/2020/06/linux-lite-50-emerald-linux-liteubuntu.html


第4位:Voyager 20.04 LTS


Xfce 4.14環境を持つVoyagerのXubuntu 20.04 LTSベース版です。他にGnome editionのVoyager GEが存在します。非常に高機能・軽快な上に、楽しめるファクターが強いDistributionとなっています。Xfce4のカスタマイズレベルが極めて高い所に特徴があります。

日本語input method fcitx-mozcのインストール・設定、アプリケーションの日本語化はlanguage supportを使用すれば完了するタイプですので、平易な部類に入ります。楽しめるファクターが強く隙の無い仕上がりになっているものの、language supportを使って日本語化が完了するタイプですので、今回のランキングでは第4位とさせて頂きました。

投稿記事では2回に分け、インスト―ル~初期設定までの基本設定編とVoyagerの機能解説に焦点をあてた応用設定編を掲載しています。

本ブログの投稿記事(基本設定編)→https://www.linux-setting.tokyo/2020/05/voyager-2004-lts-xubuntu-2004.html

本ブログの投稿記事(応用設定編)→https://www.linux-setting.tokyo/2020/05/voyager-2004-lts-xubuntu-2004_5.html


第3位:Manjaro 20.2


オフィシャルデスクトップ環境として、最新のXfce、Gnome、KDEを採用する高機能Archベースとなります。他にコミュニティeditionとして、LXQt、Cinnamon等主要デスクトップ環境を提供します。

Archは最新技術を率先して採用しますが、反面安定性に欠ける事があります。Manjaroにおいては、サポート・品質の面でArchの弱点を補強し、安定的に最新技術を使える環境を提供している所に特徴があります。

他、Archパッケージ、AUR、flatpak、snapをパッケージ管理ソフトウエアpamacで一元的に管理しており、これらが極めて扱いやすい環境となっています。

日本語化を含む設定に関しては、若干煩雑な箇所があるもののオフィシャルデスクトップの共通設定プロセスは固定化しており、難易度は高くありません。

オフィシャルデスクトップ環境の中で軽快性を求めるならば、Xfce editionを選択する事をお勧めします。Xfce上でflatpakアプリケーションでfcitx-mozcを使用しても日本語入力上の問題は発生しません。単純なメモリー消費量を見るならばKDE editionが最も少なくなります。

Archベースではあるものの、安定性は高く、新機能をいち早く利用できる、また、snap、flatpak双方をArchパッケージ、AURと共にpamacで一括管理できるため、非常に使い勝手の良いDistributionですが、日本語化の箇所はひと手間必要であるため、今回のランキングは第3位とさせて頂きました。

本ブログの投稿記事→https://www.linux-setting.tokyo/2020/12/manjaro-202-nibia-xfce.html


第2位:Pop! OS 20.10


System 76が提供する最新Gnome3.38を採用した開発者向けUbuntu 20.10ベースDistributionとなります。他Ubuntu長期サポート版ベース(Ubuntu20.04 LTSベース)のPop! OS 20.04 LTSがあります。

Ubuntu 20.04 LTS以降ではDebパッケージに加え、snapをソフトウエアセンターで一元管理する仕組みをとっていますが、Pop! OSでは、snapを採用せず、flatpakを採用しており、Debパッケージと、flatpakをPop_shopで一元管理する仕組みをとっています。

snapアプリケーションよりもflatpakアプリケーションの方がはるかに起動スピードが速いため、筆者にとっては高評価ポイントとなります。

pre-installアプリは必要最低限であり、自身で必要なアプリ・ツールをインストールして環境を作っていくタイプですが、独自のgnome-shellにてWindowタイリングのOn/Offをショートカットキーで切り替え可能にしており、開発の場面でなくても極めて使いやすい高機能デスクトップ環境となっています。

日本語化残処理はほぼいらず、デフォルトの日本語input methodはiBus-mozcが設定されます。無論flatpakアプリケーション上で日本語入力の問題は発生しません。Gnome環境を持つLinux distributionを筆者がランキング上位に持ってくる事は軽快性の観点でほとんどありませんが、Pop! OSについては、その使い勝手の良さが抜群のため、今回のランキングは第2位とさせて頂きました。

本ブログの投稿記事→https://www.linux-setting.tokyo/2020/12/pop-os-2010-ubuntuwindow-tillingpop.html


第1位:Linux Mint 20


さて2020年の筆者の勝手な2020年版Linuxランキング1位は・・

Ubuntu 20.04 LTSベース・・Linux Mint 20 Cinnamon/Xfce/Mate 各editionとなります。

安定感、機能性、設定の平易性が抜群であり、軽快性を望むなら、Xfce、Mate各editionを、より高機能なデスクトップを望むならCinnamon editionを選択できるようになっている点も◎。安定性、機能性、設定の平易性(日本語化、repositoryの変更作業の平易性)、軽快性(Xfce、Mate)・・のバランスが良くとれており、他の追従を許さないdistributionとなっています。

外観の基本色は緑でしたが、これを変更できるようになったり、peppermit OSのice ssb managerと同等な機能性(まだベータですが)が使える等の多くの機能拡張が行われた2020年でした。現在、筆者のお勧め度が最も高いDsitiributionとなります。

本ブログの投稿記事(Cinnamon)→https://www.linux-setting.tokyo/2020/06/linux-mint-20-ulyana-cinnamon-edition.html

本ブログの投稿記事(Xfce/Mate)→https://www.linux-setting.tokyo/2020/07/linux-mint-20-mate-xfce-edition-ubuntu.html


2021年は、Debian 11 "bullseye" stableがリリースされる予定となっており、MX、Q4OS等を始めたとしたDebianベースのバージョンアップが期待されます。またUbuntu 20.04 LTSベースも今年に持ち越されたものが数多くあるため、積極的に投稿を継続していきます。

本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

コメント