Debian 13 "Trixie" KDE 6〜KDE 6 + Wayland上での正しい日本語入力fcitx5-mozc環境構築

 





前回に引き続き、Debian13に関して・・今回はDebian 13 "Trixie" KDE 6 editionに関してとなります。Debian 13最大のトピックスは、やはりDebianのKDE 6環境+Waylandサポートとなります。非常に大きなエンハンスであり、KDE 5環境からUIを含め大幅な変化があります。とても1回のブログでは書ききれませんので、このあたりの違いに関しては、他のブログ等を参照願います。

Debian初のKDE 6+Wayland環境正式サポートの影響か、日本語入力環境は、Gome 48 editionとは異なり、インストール直後から使えるようにはなっていません。Anthy辞書管理があったりと・・セットアップしようとした節は見られるんですが(^_^;)。ほとんど何もされていないに等しい状態となっています。という事で、今回はKDE 6 + Wayland環境におけるfcitx5-mozcのインストール&設定に関して解説していきます。前回Gnome 48環境のfcitx5-mozcインストール&設定と参照物や考え方は一緒ですが、環境変数の設定内容は一部異なります。

1.概要:以下を参照ください。

2.インストール

前回投稿記事2.インストールを参照ください→https://www.linux-setting.tokyo/2025/08/debian-13-trixie-gnome-48-edition.html

インストールの途中でデスクトップ環境の指定が行なえますが、Gnomeの代わりにKDEを選択すればKDE 6環境がインストールされます。

3.初期設定

前回投稿記事3.1〜3.3を参照ください→https://www.linux-setting.tokyo/2025/08/debian-13-trixie-gnome-48-edition.html

ただし3.3② flatpakを”ソフトウェア”に統合の箇所はKDE 6の場合異なります。以下に読み替えてください。

② flatpakを”Discover”に統合

ターミナルを使って以下コマンドを投入

sudo apt install plasma-discover-backend-flatpak

4.初期設定

初期設定に関しては、前回投稿記事の内容は使えません。ほぼほぼGnome 48の設定内容のためです。尚、デフォルトフォントの変更に関しては、KDE 6環境において必要ありません。noto-cjk-jpフォントはpre-installされている上に、noto系フォントが既にシステムデフォルトフォントとして設定されているためです。ただしFirefox等一部アプリケーションに関しては、好みに応じて自分でデフォルトフォント(各アプリの設定から)を変更してください。

5. wayland+KDE 6上で正しく動作する日本語入力fcitx5-mozc環境の構築

5.1 fcitx5-mozcのインストール&GTK_IM_MODULE環境変数削除

今回は、fcitx5-mozcをWayland上で正しく動作させる環境を構築してみます(あくまでも今日時点での)。
尚、今回のFcitx5-mozcセットアップの参考文献は、以下となります。ただし、この内容は確定ではなく、日々更新されている状況となります。


まず、fcitx5-mozc,kde-config-fcitx5をインストールします。

sudo apt install fcitx5-mozc kde-config-fcitx5
次にim-configを関連ファイルと共に完全消去します。これにより、”GTK_IM_MODULE"環境変数設定情報を消去します。ターミナルを使用して以下コマンドを投入します。

sudo apt purge im-config
5.2 ~/.bashrcの修正と、gtkアプリケーションのためのConfigファイルの編集

ここは、Gnome 48の設定内容とは一部異なります。

①  ~/.bashrcの修正

Xwayland配下で動作するアプリケーションでfcitx5-mozcを使用した日本語入力のためには、環境変数XMODIFIERSについてXMODIFIERS=@im=fcitxが必須となります。また、KDE 6環境では、GTK_IM_MODULEに加えQT_IM_MODULEにnullを設定する必要があります。このため、セッション開始時にこれら環境変数を反映させるため、~/.bashrcの末尾に以下の3行を追加します。(GTK_IM_MODULE環境変数は、im_configをpurgeしているためnullの状態になっていますが念の為再設定しています)

export XMODIFIERS=@im=fcitx
export QT_IM_MODULE=
export GTK_IM_MODULE=
 

②  gtkアプリケーションのためのconfigファイルの作成

gtkアプリケーションについては、環境変数GTK_IM_MODULEの値がnullの状態となっており、fcitx5-mozcを使用するにあたって、gtk2、gtk3、gtk4それぞれの環境に対し、GTK_IM_MODULE=fcitxを反映させる必要があります。このためには、~/.gtkrc-2.0及び、~/.config/gtk-3.0/settings.ini、~/.config/gtk-4.0/settings.iniを編集します。内容として、以下を追記します。

(1) ~/.gtkrc-2.0GTK_IM_MODULE=fcitx を追記

(2) ~/.config/gtk-3.0/settings.ini、~/.config/gtk-4.0/settings.ini

双方のsettings.iniに以下を追記

GTK_IM_MODULE=fcitx

以上処理終了後、logout/loginします。

~/.gtkrc-2.0

~/.config/gtk-3.0/settings.ini

~/.config/gtk-4.0/settings.ini

5.3 Fcitx5の設定

① 仮想キーボード設定

"KDEシステム設定→キーボード→仮想キーボード" にて、Fcitx 5 を選択し、適用ボタンを押下(fcitx 5 Wayland ランチャーではありません)。

② 入力メソッド設定

”KDEシステム設定→入力メソッド” にて入力メソッドの詳細設定を行います。


”入力メソッドを追加”ボタンを押下
言語→日本語(jpn)、レイアウト→日本語 を選択
OKボタンを押下
修正ボタンを押下→入力メソッドオンの欄にキーボード英語(US)が残っているため、キーボード英語(US)の行の右端の印を押下し、削除

適用ボタンを押下

③ キーボード確認

キーボードレイアウトを日本語に置き換えたため、念の為、"KDEシステム設定→キーボード→キーボード" でレイアウトを確認します。以下のように日本語が設定されていればOK。
以上、処理終了後、念の為、logout/loginします。

これでWayland + KDE 6における日本語入力fcitx5-mozc環境の構築はDoneです。構築結果はかなり良好・・。

Chromeでの日本語入力

注意事項:

”Fcitx5設定”の”入力メソッド”設定におけるデフォルトキーボードレイアウト設定値は英語になっているため、最初、”KDEシステム設定→キーボード”にてキーボードレイアウトに日本語を追加しても、”入力メソッド”にてレイアウトを日本語にしない限り、”KDEシステム設定→キーボード”のキーボードレイアウトは英語に戻ってしまいます。したがって必ず上記順番にて処理ください(システムキーボードレイアウトの設定は反映されません)。

KDE 6環境において、input method panel のインストールは厳禁です。そもそもKDEのインプットメソッドステータス表示の仕組みをgnomeにポーティングしたものが、input method panelとなります。これをインストールしてしまうと、KDE 6のインプットメソッドステータス表示が崩れるか、最悪機能しなくなります。

6.評価

機能性:SS、日本語入力環境構築の平易性:C、インストール・初期設定の平易性:B、全体評価としてはAランクとなります。

前回に引き続き、Waylandでの日本語入力環境の構築となりますが、今回はKDE 6+Waylandを対象としました。今回ご紹介したのは、あくまでも現時点での正しさを追求したものの一つです。Wayland配下でのFcitx5設定内容はFcitx5 wikiでも日々アップデート状態であり、これもまた、fcitx5が単なる3rdpartyソフトウエアの所以であるため致し方ないものと思います。いずれにしても、KDE 6+Wayland環境におけるfcitx5-mozcの設定はそれなりに体力を使い疲れました(^_^;)。



コメント