Peppermint OS 230718 〜Debian 12"Bookworm"ベースとなってリニューアル!。最新ネット特化型Linuxを徹底検証する・・・

 

SSB定義によりオンラインアプリケーションをあたかもローカルアプリケーションのように扱えるネット特化型Linux ・・Peppermint OS。Debian 12 "Bookworm"ベースがリリースされたのは、2023年7月1日。この際のインストールメディア作成用isoを使用してインストールした際、通常のカーネルアップデートが出来ない等の問題にぶつかったため、投稿を控えていましたが、7月18日に新たなインストールメディア作成用ISOがリリースされましたので、今回投稿する事にしました。ちなみに、Peppermintはバージョン表記がないため、とりあえず、筆者はisoのリリースdateを末尾に加えて(Peppermit OS+ISOリリースdate、例えば2023年7月18日リリースなら=Peppermint OS 20230718)区別するようにしています。

さて、Peppermint OSですが、元々Ubuntuベースとなります。Ubuntuベースの頃のSSB定義を司るアプリケーションはiceと呼ばれていました。iceにより、通常Webブラウザの中で動作するオンラインアプリケーションがWebブラウザの中ではなく単一のローカルアプリケーションのlook&feelになります。同時に、アプリケーションメニューの中にもice定義したオンラインアプリケーションは追加され、ローカルアプリケーションと同様に、ice定義したオンラインアプリケーションがアプリケーションメニューから起動できるようになりました。

本iceをベースにPeppermint開発チームと、Linux Mint開発チームが共同開発したものが、現在Linux Mintにpre-installされるWebAPP(日本語名称としてはウェブアプリ)となります。基本機能は、iceと同等ですが、ユーザインタフェースが改善され、元のiceよりも使い勝手が大幅に向上しました。

プロジェクトマネージャの逝去により、一度頓挫しかけたPeppermint OSですが、新たにteam編成が行われ、このPeppermintプロジェクトは存続する事になります。

現在のPeppermint OSはUbuntuベースから変更されDebian及び、Devuanベースの2つの系統がリリースされています。また、32bit及び64bit版、Debianに関しては、ARM版もリリースされているのは周知のとおりです。

さて、iceの問題としては、定義上オンラインアプリケーションで使用できるWebブラウザーは限定されており、さらに、利用するWebブラウザにより、オンラインアプリケーションのlook&feelが若干異なってくるという点があります。これらの問題を払拭するための仕組みとして生み出されたiceに変わるもの・・これがkumoとなります。

Webブラウザに依存しないkumoを使用したSSB定義では、使用するWebブラウザの指定箇所はありません。ただし、最新のkumoではアプリケーションメニューに対するオンラインアプリケーションの登録機能はなくなりました。SSB定義されたオンラインアプリケーションは、kumoのインタフェースを通じて起動するよう変更されています。


次に、Peppermint HUBと呼ばれる機能性が追加され、若干、設定は必要なものの、software toolとしてflatpak、snapに加えApp Imageも取り扱えるようになっています。

flatpak、snap、App Imageを全て使うという事はあまり考えられませんが、ユーザの選択肢として取り扱えるという点は評価できるポイントです。

従来のpeppermintと同様、pre-installされるアプリケーションは最小限に抑え、オンラインアプリケーションをkumoを使ってできるだけ使用するという特徴は変わりませんが、普通に、Debian repository等のアプリケーションはインストールして利用可能です。

と・・言うことで今回はネット特化型Linux・・Peppermint OSに関して投稿を進めていきます。

1.概要

1.1 ベース:Debian 12"Bookworm"

1.2 デスクトップ環境:Xfce 4.18

1.3 カーネル:6.1シリーズ

1.4 インストールメディア作成用isoファイル入手先

2.インストール(GPT/uefi、セキュアブートOff)

rufus等で作成したインストールメディアでブートした直後に表示されるメニューにて”Live with localization support"を選択、次に表示されるメニューにてJapaneseを選択します。


上記のようにlocalization supportでJapaneseを選択すると、日本語環境でPeppermintのライブセッションが起動します。ライブセッションのインストーラーを起動してインストールを進めていきます。


注意)インストール先については環境依存になりますので参考になりません。ユーザアカウントも自身のものを設定ください。

3.初期設定

3.1 repositoryの最適化とシステムアップグレード


インストール→再起動→loginすると上記のようにPeppermintのwelcome画面が表示されますが、最初は使いませんので、最小化しておきます。

アプリケーションメニュー(Whisker menu)からsynapticを起動し、repositoryの最適化及びシステムアップグレードを行います。

synaptic起動
設定→リポジトリ選択
チェックがついているrepositoryの中で、”deb.debina.org"を全て"ftp.jp.debian.org"に書き換えます
"更新"ボタンを押下
”すべてアップグレード”ボタンを押下

以上でrepositoryの最適化及びシステムアップグレードの処理は完了です。

3.2 時刻の調整

これはWindowsとのデュアルブート構成時のみ必要です。Peppermint使用後、Windowsを利用すると時刻の狂いが生じますが、これを防ぐため、ターミナルを起動し以下コマンドを投入します。

→timedatectl set-local-rtc true


3.3 デフォルトフォントの変更

デフォルトフォントは変更したほうが良いですが、ここは個人の好みで。
筆者はnoto-cjk-jp系フォントをインストールし、これをデフォルトフォントにしています。

ここではこの流れを。。

1)noto-cjk-jp系フォントのインストール

ターミナルを起動し以下コマンドを投入します。

→sudo apt install fonts-noto-cjk


2)デフォルトフォントの変更処理

デフォルトフォントの変更は、設定マネージャーの”外観”、”ウィンドウマネージャー”を使用します。

① 外観でのフォント変更


② ウィンドウマネージャでのフォント変更


3.4 アプリケーションインストール

すべてをオンラインアプリケーションにして使用する事には無理があるため、基本アプリケーションのインストールを行います。これはPeppermintのWelcome画面→”Suggested”を選択して行います。以下は参考例。。

アプリケーション・ツール一覧(Suggested Packages)が表示されますので、インストールを行いたいアプリケーション・ツールを選択してインストールしていきます
筆者がインストールしたのは上記白色文字が灰色に変わっているものとなります。筆者は、flatpakを使用しますのでFlatpak Package Platformを選択・インストールしています。

次にflatpak hubの設定をしてしまいます。これはターミナルを起動し以下コマンドを投入します。

→flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
flathubの設定完了後一旦再起動します

他アプリケーションの追加インストールは必要に応じて。。。以下は参考に。。面倒なので、コマンドでインストールしています。
筆者は、flatpakからは、libreoffice、thunderbird、firefoxをインストールしています

Debian repositoryからは、ristretto、gimp、VLCをインストールしています。尚VLCは、上記の他、vlc-l10nのインストールが必要です。これで日本語化できます

4. 日本語化残処理(日本語入力環境のインストール)

Peppermint OSでは、inpud method本体、必要な周辺ライブラリ・ツール関し、pre-installされていません。このため、input methodを指定して(例えばfcitx-mozc等)を単体でインストール指定しその依存関係のみを追加インストールしただけでは足りません。このため、recommendsオプション付きでインストールを実施します。ここでは、fcitx5-mozcをrecommendsオプション付きでインストールします。

sudo apt install --install-recommends fcitx5-mozc

以上処理終了後、logout/loginあるいは再起動すればfcitx5-mozcによる日本語入力が可能になります。

尚、日本語指定でインストールする事により、pre-installされるアプリケーションの日本語化は完了しますので、特段アプリケーションの日本語化に関して処理は必要ありません。

5. 基本設定

基本設定では、初期設定以外で若干調整が必要な事項に関して投稿します。

5.1 コンポジット処理 

Peppermint OSのコンポジット処理はデフォルトでOffになっています。透過処理等を利用可能とするためには、これをOnにする必要があります。これは設定マネージャー→ウィンドウマネージャー(詳細)→コンポジット処理タブから設定変更を行います。


5.2 Plank

ドック機能を提供するplankに関しては、pre-installされています。
例えばXfceパネルをデスクトップ上方に移動し、デスクトップ下方にplankを配置・・plankを次回login以降も自動起動するためには、自動起動設定を行う必要があります。
これは、設定マネージャー→セッションと起動→自動起動アプリケーションタブから行います。


他、login画面に表示される時刻表示フォーマットの調整等がありますが、ここでは割愛します。

6. Kumoに関して

SSB定義を司るKumoは、SSB定義及び、実行を一つのインタフェースから行うようになっています。Kumoのインタフェース構造は以下のようになっています。


・インタフェース左面機能:SSB定義・登録機能
① オンラインアプリケーション名等を入力
② オンラインアプリケーションのURLを入力

・インタフェース右面機能:SSB実行・削除機能
③ 定義・登録済みSSB(オンラインアプリケーション名等)をプルダウンメニューから選択
④ ③で選択したSSBのURLを表示
⇒Runボタンを押下→選択SSBを実行、Deleteボタンを押下→選択SSBを削除

事例)
1)SSB定義・登録(Google Calendar、Google Doc)

Google Calendar定義(saveボタンを押下するとSSBが保存されます)

Google Doc定義(saveボタンを押下するとSSBが保存されます)

2)SSB実行(Google Calendar初期起動)

Kumo右面にてGoogle Calenderをプルダウンメニューから選択
左側Windowにてloginを選択・・以下のようにGoogle Calendar起動に必要なgoogleアカウント入力Windowが起動します
左側Windowにてinputモードにならない場合、キーボードから"i"(ダブルコーテーションは入力不要)を入力→inputモードになるため、googleアカウントを入力→次へボタンを押下→googleアカウントのパスワードを入力→Google Caledar起動・・となります。
一度googleアカウント・パスワードを入力すれば、以降、googleアカウント・パスワードの入力は不要となります。

次にKumoの右面よりGoogle Docをプルダウンメニューから選択すると、googleアカウント、パスワードの入力不要でGoogle Docが起動します。


注意)Kumoでは、Microsoft 365の挙動が安定しません。2段階認証との相性が悪い可能性がありますが、KumoでのMicrosoft 365の利用は注意が必要です。

7. 評価

安定性:B、機能性:A、初期設定〜日本語化残処理の平易性:B、軽快性:A

となります。Kumoに関しては、SSBの起動がかなり遅い時があり、また、Kumo+Microsoft 365はlogin時にエラーを履いてlogin画面が表示できない事がある等の問題が発生します。Kumo+Googleサービスに関しては概ね大丈夫です。

Kumoに関してはまだ発展途上という見方もできますが、iceと比較すると、まだ挙動が安定していない感があります。また、やはりアプリケーションメニュー登録がなくなったというのは痛いですね。
Kumo自体のパフォーマンス及び、安定感が増せば、また、さすがPeppermintという評価になりますが、現時点では、まだベータレベルかな・・・というのが正直な所です。

Kumo以外の所では、よく出来ているだけに、惜しいって所でしょうか。。

これからのエンハンスを期待したい所です。








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