Debian 12 "Bookworm"・・2年ぶりのDebianメジャーリリースとなります。カーネル6.1シリーズ搭載、メインデスクトップのgnomeバージョンは43.4・・さすがに44搭載とはいきませんでしたが最新の環境にリフレッシュして登場してきました。他のデスクトップとしてKDE Plasma 5.27、LXDE 11、LXQt 1.2、Mate 1.26、Xfce 4.18がそれぞれインストール可能となっています。
若干注意が必要な点として、インストール及びその結果構築されるDebian環境においてWifiを使用する場合は、多くの場合、non-free-firmwareが必要でしたが、従来と違って、officialインストーラーにこれらが梱包されています。したがって、non-free-firmwareが含まれたunofficialインストーラーは別途提供されません。ただし、firmwareは別途提供されますので、以前筆者が紹介した方法にてnon-free-firmwareを梱包したインストーラーを作成する事はできます。
Debian 12のofficialインストーラー用ISOファイルは以下よりダウンロードできます。
→https://cdimage.debian.org/debian-cd/current/amd64/iso-dvd/debian-12.0.0-amd64-DVD-1.iso
上記でダウンロードしたisoファイルを入力として、rufus等を使いUSBにインストーラーを作成後、このUSBからDebian 12をブート→インストールする流れとなります。
他新機能、Debian 11からDebian 12へのアップグレード時注意事項等については以下Debian 12 リリースノートを参照ください。
→https://www.debian.org/releases/stable/amd64/release-notes/
今回はDebian 12クイックセットアップという事で注意事項も含め投稿を進めていきます。
1.概要
1.1 カーネル:6.1シリーズ
1.2 デスクトップ:Gnome 43.4
1.3 ディスプレイマネージャ:Wayland
1.4 デフォルト日本語input method:ibus-mozc
1.5 ソフトウェア管理:ソフトウェアあるいはsynapticによるDeb package管理
2.インストール(GPT/uefi、セキュアブートoff)
今までunofficial installerを利用するか、firmwareを手動でインストーラに追加した場合にWifiを利用したインストールが可能でしたが、通常のインストーラでも問題なくWifiを認識できるようになっています |
wifiセットアップーデバイス選択 |
wifiセットアップーSSID選択→SSIDパスコード入力 |
user名設定 |
アカウント登録ーアカウント名 |
アカウント登録ーパスワード設定 |
ここでは国内ミラーを選択していません。Debianの新しいバージョンがリリースされた直後の場合、国内ミラーがまだ準備されていない場合があるからです。結果として、DVDからインストール(ネットワークを使用しないインストール)としています。 |
デスクトップ環境選択ーここではチェック済みGnomeを選択したままにしています |
3.初期設定
3.1 初期設定Window(ようこそWindow)による初期設定
日本語(Mozc)を選択します→これで日本語input methodの設定が行われます |
ここでのオンラインアカウントの設定はUbuntu 23.04系と同様に失敗しますのでスキップボタンを押下します。オンラインアカウント設定が必要な場合は別途設定から行います |
3.2 repository操作
インストール時に”DVDからインストール”を選択していますので、repositoryソースがDVDとなっています。このため、ネットワークを使用したアップデートやインストールが行えない状態です。このため”Software & Updates”を使いrepositoryの再設定を行います。具体的には”Software & Updates”のOther SoftwareタブにてDVD(cdromという表記になっています)のチェックを外し、Debian Softwareタブにて、国内サーバーあるいはメインサーバーをrepositoryとして設定します。
まずOther Softwareタブより上記のチェックを外します |
Debian Softwareタブに移動します |
上記のようにチェックを入れ、ダウンロード元を”日本のサーバー”に変更します。この後、閉じるボタンを押下します |
上記のようなWindowがポップアップしますので再読込ボタンを押下します。再読込中にエラーが出る場合は、まだ国内サーバーの準備が整っていないため、ダウンロード元をメインサーバーに戻して同じ処理を繰り返します。 |
現在は、国内サーバーもrepositoryとして利用可能ですが、Debian 12リリース直後は、国内サーバーを利用できませんでした。このため筆者は、初回インストール時にネットワークインストールは使用せず、repositoryもメインサーバー指定で設定を行っています。
3.3 システムアップグレード処理
ターミナルを起動し、suコマンドでルートに切り替えた後、以下コマンドを投入し、システムアップグレード処理を行います。尚、Debianの初期状態では、sudoの設定が行われていないため、sudoは利用できません。
→apt upgrade
sudoの設定を行い、sudoコマンドを利用可能とします。
これはターミナルを起動し、以下コマンドを投入します。
→/usr/sbin/usermod -G アカウント名
アカウント名の箇所に自分のアカウントを指定します。
3.5 時刻の調整
時刻の調整の必要はありません。Windowsとのデュアルブート構成時であっても、Debian利用後、Windowsを使用してもWindows側の時刻の狂いは生じません。
以上処理終了後、Debian 12(デスクトップ環境:Gnome)は日本語input methodも含め、日本語環境で問題なく利用可能となります。
以上でインストール及び初期設定は完了します。この状態で、概ねDebian 12は利用するにあたって支障がない状態となります。
4.オプション設定
4.1 flatpak
flatpakが必要な場合は、別途インストール&設定が必要です。
① flatpakインストール→sudo apt install flatpak
② flatpak repository(Hub)設定
→flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
③ flatpak”ソフトウェア”統合
→sudo apt install gnome-software-plugin-flatpak
以上でソフトウェアを使いflatpakソフトウェアのインストール・アップデート・削除が可能となります。
4.3 日本語入力環境の変更(ibus-mozc→fcitx5-mozc)
デフォルトの日本語入力環境はibus-mozcですが、fcitx5-mozcに切り替える場合は以下の手順で。。
① fcitx5-mozcのインストール→sudo apt install fcitx5-mozc
② ibus-mozcからfcitx5-mozcへの切り替え→im-config -n fcitx5
③ 拡張機能:Input Method Panel のインストール(extension managerを使用:事前にソフトウェアを使ってインストール要)
④ 再起動
⑤ Fcitx設定を使ってキーボード設定を変更
以上で、ibus-mozcからfcitx5-mozcへの切り替えは完了です。
5.評価
軽快性:A、機能性:A-、インストール〜初期設定の平易性:B+、日本語化残処理の平易性:A
となります。2年ぶりDebianのメジャーリリースでしたが、出来は◎。non-free-firmwareをオフィシャルインストーラーに含めている事からWifiが即座に利用可能となるのは特に◎です。
数多くのエンハンスを伴い、カーネル6.1シリーズ、デスクトップ環境等・・ほぼ最新のものを搭載してきています。
今回若干リリース→筆者のセットアップから時間をおいての投稿でしたが、repositoryミラー等の確認や、リリースノートの読み込み等がありましたので、このタイミングでの投稿となりました。やはりDebianはLinuxを使う側から言えば基本中の基本・・デスクトップ環境もほぼカスタマイズ無しの状態でリリースされますので、自分好みの環境を作るには最適です。
筆者おすすめの1本!
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