Google Pixel 6aを予約注文してみて気になった件・・~この価格でGoogleはやっていけるのか・・あたりを考察してみる。

Google Pixel 6aが昨日2022年7月21日よりgoogleのサイトから予約注文開始になったので、業務用として使用しているPixel 4aを下取りにしてチャコールブラックのPixel 6aを予約してみました。



在庫限りではあるものの、キャンペーンとしてPixel Buds A-Seriesがただになるっていう特典付き(ただしPixel Buds A-Seriesは別途買い物かごにいれてやる必要があります)。昨今の円高(本日138円超/dollarの為替レート)にも関わらず5月発表の価格は変えず、驚愕の53,900円(消費税込み)となっています。

筆者は外資系IT企業にて、プロダクトマーケティングをしていた経歴もあり、国内におけるサーバー等の価格付けも担当していましたが、この際、社内で使用していたのがドルから円に変換するためのコンバージョンRateと呼ばれるものです。少なくともこのコンバージョンRateは、利益を確保するため今後の年間予想平均為替Rateよりも高く設定する事が普通です。製品のコンバージョンRate策定時には、競合との価格・Spec比較/分析、出荷数予測に加え、利益率の観点で、今後の為替の動向を深く読む必要があり、特に為替変動期間にこれを行う事はかなり難しい作業となります。

Appleが製品の大幅な値上げを突然行ったことは記憶に新しい所ですが、iPhone代表的売れ線モデルの新しい日本円価格でのコンバージョンRate(非常にざっくりした計算結果ですので正確なコンバージョンRateにはなっていないかもしれません。このあたり要注意です。)はいくらになっているかを見てみると・・

1.iPhone 13(128GB)ケース
①ドル価格:799ドル(Not included TAX)
②新円価格:107091円(消費税抜き)

→コンバージョンRate=②÷①=概ね134円/dollar

2.iPhone 13mini(128GB)ケース
①ドル価格:699ドル(Not included TAX)
②新円価格:90722円(消費税抜き)

→コンバージョンRate=②÷①=概ね130円/dollar

3.iPhone SE 3(64GB)ケース
①ドル価格:429ドル(Not inluded TAX)
②新円価格:57091円(消費税抜き)

→コンバージョンRate=②÷①=概ね133円/dollar

2022年7月21日時点での為替rateは、概ね138円/dollarですので、値上げしたと言っても、日本円価格設定上、かなり危険水域のコンバージョンRateとなっています。元の価格帯が低すぎたため、ブレーキがかかったのか、あるいは、為替Rateが本年度平均これくらいだと読んだのかはわかりません。いずれにしてもコンバージョンRateから見た場合は、iPhone 13miniが最もお買い得感が高いのが分かります、この中では・・。

次に今回のGoogle Pixel 6aのコンバージョンRateを見てみます。

4.Google Pixel 6a(128GB)ケース
①ドル価格:449ドル(Not inluded TAX)
②円価格 :49000円(消費税抜き)

→コンバージョンRate=②÷①=概ね109円/dollar

Google Pixel 6a発表時(5月12日近辺)の為替Rateは、概ね131円/dollarとなっています。


5月12日発表時点で、Pixel 6aの価格は、為替rateから見て、20円/dollar以上のbehind、現時点では、概ね30円/dollarのbehindとなり、これで利益が上がるとは思えません。ぱっと見、売れれば売れるほど赤になるようなコンバージョンRateに見えてしまいます。

筆者がプロダクトマーケティングを行っていた際、サーバー等のローエンドモデルのコンバージョンRateは戦略的に下げ、ローエンドモデルの販売を好調化させ、コンバージョンRateをローエンドモデルより引き上げたミッドレンジ、ハイエンドモデルの商談を活性化するような価格戦略を作り実施した事もありますが、それでも予想した今後の年間平均為替レートよりもコンバージョンRateを下げるるような事は利益率という観点でリスクも大きく実施できませんでした(最も昨今は、円安が急速過ぎて、今後の適正な平均為替Rateを読む事は不可能に近い作業かもしれません)。しかもPixel 6aには、コストがかかる5年間のセキュリティアップデートを行う予定のようです(予定は未定とも言えますけど・・。またOSアップグレード期間は、現時点で不明です)。

google USは他のソフトウエアプラットフォームサービス群の一部を今年4月に値上げしており、これら主要製品群によって見かけ上マイナスの利益率となるPixel 6aをカバーできるのかもしれません。また、今後価格が発表されるPixel 7、Pixel 7 ProのコンバージョンRateを引き上げ、これでカバーするのかもしれません。あるいは、Pixel 6aの原価が利益率をカバーできるほど本当は安いのかもしれません。

ただ、今年のUSの金融緩和と日銀の対応を見る限り、円安が急速に改善されるとは思えません。さらに、円高に転じたとしても元の水準に戻るにはそれなりの期間が必要だと思われますので、Pixel 6aのspecと現コンバージョンRateを見る限り、今後値上げが無いとは言い切れないというのが筆者の正直な感想です。こんな感想を持つほど今回のPixel 6aのコンバージョンRateは低すぎて謎という事です。何か、Pixel 6a販売開始に伴う期間限定の価格割引キャンペーン展開中・・のような気がするのは筆者だけでしょうか?。

試しにPixel 6aの競合に最も近いiPhone SE 3のコンバージョンRate 133円/dollarを使ってPixel 6aの日本円をはじき出してみると・・

・コンバージョンrate 133円使用時のPixel 6aの日本円販売価格(消費税抜き)
 →59717円

となります。消費税を入れると6万超えですね。Googleが日本においてiPhone SE 3を競合として見ているならば、このあたりか、iPhone SE 3の価格よりちょい下げる(例えば消費税抜きで57000円にadjustする等・・この場合コンバージョンRateは127円/dollarとなりますので、現為替レートが継続するとなると、他で利益を上げる施策が必要になると考えられます)っていうのが、日本市場におけるPixel 6aの適正価格のような気がします。

いずれにしても、今Pixel Buds-Aseriesが無料で貰えて、かつ、このPixel 6aの販売価格53,900円というのは破格です。あとは、Pixel 6、Pixel 6 Proのようにリリース当時バグだらけ(今もありますけど)って事がなければOKなんですが(;^_^A。。これが最も心配な点です。

Pixel 6a本体に関しては、物が届いてから本ブログで取り上げる予定です。

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