Archman 2020-03 "Mate" edition 〜最新Mate 1.24を搭載するトルコ産Archベースを検証する・・

今回もデスクトップに最新Mate 1.24を搭載したLinux distribution・・トルコ産Archman 2020-03に関する投稿です。以前は、デスクトップ環境としてXfce4を搭載していましたが、今回は、Mateに切り替えての登場となります。今まで、最新Mate 1.24を採用するLinux desktopとして、sparkylinux 2020.03 Mate、Manjaro 19.0.2 community edition Mateを投稿してきましたがこの中では最後発・・そんなに大した差ではないんですが。。

Archman・・自ずとしれたArchベース。pre-installアプリケーション等は最低限・・したがって、office suiteや、Thunderbird等必要なアプリケーションは自分で入れて自分好みの環境を作ってね的なDistributionとなります。したがって、ざっと見た感じManjaro community editionのminimal各editionとおんなじキャラでしょうか・・。Manjaroと似ている点は他にもあり、Archman Settings Managerの各機能性はほぼ一緒・・。
アプリケーションの日本語化は、Archman Settings Managerの"言語パッケージ”から一挙に行えるっていう感じです・・まっとうに動けば・・という条件付きなんですが(^_^;)。

この"言語パッケージ"の機能性は、Ubuntu系でいうlanguage supportですが、ここからinput methodのインストール&設定を除いたものです。Manjaroにおいて、日本語input method(fcitx-mozc等)の手動インストール、.xprofileの記述・作成が、本”言語パッケージ”の中ですべて行えるようになれば、ManjaroもSettingの平易性という観点でUbuntuと並ぶ事になるんですが、さすがにここまでは来ていません。

Manjaroと同等機能のArchman Settings managerを持つArchman 2020.03ですが、あくまでもArchベースですので、他の設定内容はManjaroとは異なります。

今回は、デスクトップ環境をXfce4から最新Mate 1.24に切り替えた、Archman 2020-03を取り上げます。

 

 1.概要

1)ベース:Arch(Rolling)

2)デスクトップ環境:Mate 1.24(最新)

3)カーネル:5.5.9-arch1-2

mwltdown/spectre等HW脆弱性緩和策対応度は・・
サマリーのみのスクリーンショットですが問題の無いレベルとなっています。

2.インストール(GPT/eufiケース)

インストールメディアを作成するためにrufusを使用する場合は必ずDDモードで書き込んでください。

1)ブート時メニュー選択(GPT/eufiケース)

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メニュー最上位を選択すればブートできます。

2)インストールプロセス

アプリケーションメニューの検索ボックスで、installを入力すればArchmanのインストーラーが表示されますので、これを・選択・実行。。
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 ”日本語”選択部分がブランクの状態・・右横にJapaneseとは表示されていますが、とりあえず、otf-ipafontをインストールしてこの問題を収集します。

一旦インストーラーを終了し。。

まずrepositoryの同期→sudo pacman -Sy
次にotf-ipafontのインストール→sudo pacman -S otf-ipafont


以上処理でインストーラーの言語選択欄に”日本語”が表示され選択可能となります。
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 尚、本体及びブートローダーのインストール先は環境依存のため参考になりません。


3.初期設定

1).bashrcの確認と修正

初期設定をするにあたって、.bashrcを確認する事・・。コマンド別名が登録されています。Archmanの.bashrcの内容は以下の通り。。
”upgrade"や"mirrors"は上記定義でもいけるけど、筆者は国内サーバーにrepositoryを変更したいため、.bashrcの"alias mirrors"と"alias upgrade"定義箇所を以下のように修正しています。。

alias mirrors="sudo reflector --country Japan --age 24 --protocol https --sort rate --save /etc/pacman.d/mirrorlist"

alias upgrade="sudo reflector --country Japan --age 24 --protocol https --sort rate --save /etc/pacman.d/mirrorlist && sudo pacman -Syyu"


2)repositoryの最適化&システムアップデート/アップグレード

ターミナルを立ち上げて(アプリケーションメニューの検索ボックスにterminalを入力し、検索結果を起動)、以下コマンド(別名)を投入。。

→upgrade
 これでmirrorは国内サーバーにセットされ、同時にシステムアップデート・アップグレードが完了します。上記処理終了後mirrorlistは以下のようにセットされます。

3)repositoryの最適化&システムアップデート/アップグレード

文字化けを収拾するため、noto-fonts-cjkをインストール

→sudo pacman -S noto-fonts-cjk
上記処理終了後、一旦Archmanを再起動します(アップグレード処理でカーネルが対象となるため)。

4)日時の調整

これは、コントロールセンター→Archman Settings Manager→”時刻と日付”から。。
そもそもタイムサーバーとの同期がされていませんので、これをするようにします。
常時ネット接続の場合は必須。。

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 WindowsとのDual boot時は必ず上記のように”ローカルタイムゾーンでのハードウェアクロック”にチェックを入れる事。これでArchman使用後、Windowsを起動しても時刻のずれは発生しなくなります。

4.日本語化残処理

1)アプリケーションのインストールと日本語化

実用性のあるアプリケーションはFirefox以外ほぼインストールされていません。このため、自分の必要なアプリケーションをpamacを使用してインストールしてしまいます。
例えば、筆者は、libreoffice、thunderbird、clementine、gimpをインストールしています。

この後、コントロールセンター→Archman Settings Manager→”言語パッケージ”から日本語化パッケージのインストールを行えば、アプリケーションの日本語化は完了となるはずなんですが。。システムアップデート・アップグレードを行った後にもかかわらず以下メッセージが出て、インストールできません。
このためコマンドで処理。。インストールしたアプリケーションの日本語化パッケージを手動でインストールします。例えば以下のような感じ。
次に、firefoxの日本語化パッケージは、上記でインストールされますが、firefoxのトルコ語パッケージがpre-installされており、これが残っているとfirefoxがうまく日本語化できません。このため、pamac等を使用してfirefoxのトルコ語パッケージを削除します。
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以上で、アプリケーションの日本語化が完了します。



2)日本語input method(fcitx-mozc)のインストールと設定

これはmanjroや、他archベースと同じです。

① fcitx-mozcのインストール

→sudo pacman -S fcitx-mozc fcitx-gtk2 fcitx-gtk3 fcitx-qt5

② .xprofileの作成

自分のホームディレクトリ直下に以下内容で.xprofileを作成。。

export GTK_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx


以上処理完了後、logout/loginでfcitx-mozcによる日本語入力が可能となります。

5.基本設定

基本設定の内容は、前回投稿した、Manjaro 19.0.2 Mate editionと同じです。
https://www.linux-setting.tokyo/2020/03/mate-124-manjaro-190-1902-comminity.html

ただし、Archmanでは、Mate Tweakがpre-installされていないため、デスクトップ上のアイコン表示等コントロールができない状況となっています(デフォルトフォントの変更は、コントロールセンター→外観から行えますけど)。

1)Mate Tweakのインストール

Mate TweakのインストールはpamacのAURからビルドする事が必要です。pamacではAURはデフォルトenableになっていませんので、最初にこれをenableにする必要があります。
以上設定後AURからMate Tweakをビルドします。
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以上でコントロールセンターにMate Tweakが表示され使用可能となります。
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2)ドック(plank)のインストールと表示

Manjaro 19.0.2 Mate editionでは、plankがpre-installされており、Mate Tweakからplankの表示・非表示のコントロールができる事を記載しました。

Archmanでは、plank等ドックはpre-installされていませんので、これが必要な場合、plankをまずインストールし、Mate Tweakからこれを表示させるようにします(本処理で自動起動処理定義もなされます)。

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3)login画面の日時修正

これは欧米風の並びになってるので見苦しく。。このため、コントロールパネル→LightDM GTK+ Greeterの設定→パネルから。。例えば以下のような感じに。。

6.メモリー消費量

Terminal onlyメモリー消費量:615MB

Teminal+firefoxメモリー消費量:965MB

Manjaro 19.0.2 Mate editionとほぼ同等。十分軽く動作します。


7.評価

軽快性:A、機能性:B、インストール・初期設定・日本語化残処理・基本設定の平易性:B-、安定性:B

です。

デフォルト壁紙が、花系で、アイコンも黒+赤、透過処理もきれいに適用されており全体的に上品なデスクトップに仕上がります。ただ、やはり、Manjaroに匹敵するほど設定が容易ではありません。また、せっかくのArcman Settings Managerが正常動作しないため余計な日本語化残処理が発生します。Mate Tweakがpre-installされていないのも・・(^_^;)。
そしてインストール時に日本語表示可能なフォントのインストールが必要なのも・・(^_^;)。

現時点でおすすめできるか・・といえば疑問ですが、今後の改善によっては、おすすめの部類に入ってくる可能性があります(今回のArchman 2020.03の出来だと、日本国内で使用するには、同じキャラのManjaro 19.0.2 Community editionの方がおすすめとなります)。

さて、ここ3回ほど最新Mate 1.24を搭載するDistributionに関し、投稿してきました。軽快性・機能性は十分であり、来月リリースされるUbuntu Mate 20.04 LTSあたりがどうなるか非常に楽しみな所です。逆にDEのオーバーヘッドはそんなにないものの、distributionによって、Xfce 4.14のlogin直後の消費メモリーが多くなる傾向があり、若干心配な所です(Xfce 4.14を搭載するMX Linux 19.1の消費メモリーは、Mate 1.24並ですのでMXを使う分には心配いりません)。

今後、Mate 1.24を選ぶか、Xfce 4.14を選択するか悩ましい場面が増えそうです(^_^;)。


いつもの事ですが、本投稿中に含まれるスクリーンショットには筆者が外観をカスタマイズした結果が含まれます(特に冒頭と末尾のデスクトップスクリーンショット)。これらは、設定直後のオリジナルデスクトップとは異なりますので注意願います。

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