SpiralLinux Xfce-11.220925 〜ZRAMスワップをサポート・・Debian 11 "Bullseye"ベースSpiralLinuxを検証する!

諸事情により、しばらくLinux系投稿をしていませんでしたが、再開します。今まで投稿をしていなかった本年度リリース済みLinuxの投稿も今後まとめて行っていきます。

Debian 11 stableベースU.S産SpiralLinux・・。SUSE LinuxベースGecko Linuxの開発者が提供する独特な特徴を持つLinux distributionです。

まず、SpiralLinuxが使用するrepositoryはDebian公式repositoryのみとなっており、独自repositoryは持たない構成・・。開発者によって独自開発したメンテナンス要のカスタムパッケージは保有していません。

将来、仮に、SpiralLinux開発者が本プロジェクトをやめたときでもDebian自体のアップグレードにより永続的に使用できるように配慮・構築されたDistributionと言うのが売りとなっています。

デフォルトで使用される現時点のカーネルはDebianバックポートによりメンテナンスされる5.18シリーズ。幅広いハードウエアサポートをこれにより実現。

またZRAMスワッピングのサポートにより、圧縮スワップ空間をメモリー上に展開。スワッピングを必要とするLinuxのDISK I/Oを排除・・メモリ内転送となるためLinuxの挙動を高速化する事ができます。また、実装したメモリー容量が少ない場合であっても、この”圧縮”により、結果的にメモリー使用量を節約できてしまうという効果もあります(ただしメモリー上にスワップ領域を作成するため、DISKにスワップ領域を作成するよりも初期状態では若干メモリー使用量は増えます)。
現在ZRAMをサポートしているのはFedoraが有名ですが、DebianベースでこれをDistributionとしてサポートしたのは、SpiralLinuxが最初という事となります。また、一般的にDISK上のスワップ領域が使われるのはメモリー上のスワップ領域が枯渇した時のみとなります。

次に現在サポートするデスクトップ環境ですが・・


Cinnamon、Xfce、Gnome、KDE、Mate、Budgie、LXQt・・主要デスクトップ環境をサポート。SpiralLinux Builderは、iceWMを使用し高度なOSカスタマイズを行うためのエキスパート向けとなっています。

最後にソフトウェア管理についてですが、Debian repositoryのソフトウェア管理に加え、初期状態からflatpakもサポート。”ソフトウェア”によってDebian repositoryのソフトウェアとflatpak ソフトウエアの統合管理を実現しています。

今回は、最新SpiralLinux Xfce editionに関して投稿を進めていきます。

1.概要

1.1 ベース:Debian 11 "Bullseye"

1.2 デスクトップ環境:Xfce 4.16

1.3 カーネル:5.18シリーズ(現時点)

1.4 ソフトウェア管理:”ソフトウェア”によるflatpak、Debianパッケージの統合管理

2.インストール(GPT/uefi、Secureboot OFF)

デスクトップ上の”Install SpiralLinux”アイコンをクリック

注)インストール先は環境依存となりますので、参考にはなりません。

 3.初期設定

3.1 repositoryの最適化・システムアップデート・アップグレード

repsositoryの最適化、最初のシステムアップデート・アップグレードは、synapticを使用して行います。

repositoryの最適化は、システムアップデート・アップグレード、ソフトウエアインストール・更新を国内のミラーサーバーから行うようにし、海外のメインサーバーから行うよりもネットスピードを引き上げ、各処理スピードを劇的に向上させるために行います。

synapticを使ってrepositoryの最適化、システムアップデート・アップグレードを行うには以下の手順に従います。

再読込ボタンを押下

以上でrepositoryの最適化、システムアップデート・アップグレードの処理は完了です。

3.2 時刻の調整

1)ネット上のタイムサーバーとの同期

以下コマンドを順次投入し、systemd-timesyncdのインストール&セットアップを完了させます。 

sudo apt install systemd-timesyncd
sudo systemctl start systemd-timesyncd
sudo systemctl enable systemd-timesyncd
sudo systemctl is-enabled systemd-timesyncd

2)ネット上のタイムサーバとの同期

timedatectlコマンドを投入しネット上のタイムサーバとの同期をONにします。

→sudo timedatectl set-ntp true

3)WIndowsとのデュアルブートの際のWindows側の時刻の狂いの調整

Windowsとのデュアルブート時のみこの処理は必要です。以下コマンドを投入します。

→sudo timedatectl set-local-rtc true

以上で、タイムサーバとの同期は完了です。

注意)上記1)、2)の処理で一般的には、次回login以降もタイムサーバとの同期が行われるはずですが、SpiralLinuxでは、次回login以降タイムサーバとの同期が切れます。一度タイムサーバとの同期を行えば、あまり問題は発生しませんが、厳密な時刻が必要な場合は、周期的に2)の処理を行う必要があります。

3.2 デフォルトフォントの変更

デフォルトフォントとしてUbuntuフォントが使用されていますが、whiskermenuのメニュー項目に重なりが見られます。このため、noto-sans-cjk-jp系フォントをインストールして、これをデフォルトフォントにします。

1)noto-sans-cjk-jp系フォントのインストール

以下コマンドを投入します。

→sudo apt install fonts-noto-cjk


2)デフォルトフォントの変更

Xfce設定マネージャーを使ってデフォルトフォントの変更を行います。

① ”外観”から

Ubuntuフォントをnoto-sans-cjkフォントへ変更


② ”ウィンドウマネージャー”から

同様にnoto-sans-cjkフォントへ変更


4.日本語化残処理

4.1 日本語化されていないアプリケーションの日本語化

デスクトップ上にあるLanguage supportアイコンをクリックし日本語化されていないアプリケーションを日本語化します。

Install language packsを選択しOKボタンを押下
Synapticのインストール可能なlanguage packが表示されます。
上記サマリで表示されているlanguage packをインストールします。

結果、日本語化されていないアプリケーションが日本語化されます。

4.2 日本語入力環境の構築:fcitx5-mozcのインストール&設定

残念ながら日本語入力環境は日本語指定でインストールしても、インストール&設定されません。ここではfcitx5-mozcをインストール&使用可能とします。

ターミナルを起動し、以下コマンドを投入します。

→sudo apt install --install-recommends fcitx5-mozc


注意)sudo apt install fcitx5-mozcでは、fcitx5-mozc環境が完全になりません。このため--install-recommendsオプションをつけてインストールしています。

これでfcitx5-mozcによる日本語入力もOK・・

5.Xfce4基本設定

パネル、login画面の日時表示が欧米風であったりするため、やっておいたほうが良いXfce4基本設定を参考として以下に記載します。

5.1 login画面の日時表示変更

5.2 パネル上の日時表示変更

パネル上の日時表示されている場所でマウス右ボタンクリック→プロパティ
上記のように変更


6.評価

軽快性:A、メンテナンス性:A、インストール〜日本語化残処理の平易性:B+、機能性:Aといった所でしょうか。

メンテナンス性という新しい評価基準を設けていますが、これは開発が止まったとしても永続的に使えるように工夫がなされている箇所を評価したものです。pre-installアプリケーション&ツールは標準的ですが、ZRAMのサポートを評価し、機能性はAとしました。

若干品質面で気になる箇所が”ソフトウェア”で見られます(ソフトウェアで検索を実行するとエラーを吐きます。ただし検索結果は表示されます)。また、ZRAMスワップを起動時に作成しますので、起動が若干遅めに感じますが、起動後の恩恵が大きいのとWindowsと比べれば遥かに早いためあまり気になりません。NTPの問題や、上記のソフトウェアの問題があるため、若干まだ熟成が必要な感がありますが、永続的に使えるように工夫がなされている点、少人数の開発プロジェクトでよくある問題(プロジェクトが切られると、そのDistributionも終わる)を解決しようとしている箇所は好感が持てます。

ZRAMのサポートにより意外にlow-specマシンでもさくさく動くのではないかと・・という事で全体的な評価は高めのSpiralLinuxでした。。

なお、冒頭、末尾で使用しているスクリーンショットはカスタマイズ後のものです。パネルの位置、アイコンセットはオリジナルから変更し、plankは追加インストール&設定・テーマ変更した結果となっていますので注意ください。







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