Manjaroを解説する! 〜Manajro 21.2.5 Xfce edition、Gnome editionを題材に・・Manjaroの特徴、何ができるのか、設定の考え方・補足事項・注意事項を解説する・・


設定手順ばかりを書いてきた本ブログですが、割にManjaroのstep by step設定手順ものは本ブログでも取り上げてきましたので、今回は目先を変えて、解説に中心を置き、主に設定の考え方・補足事項・注意事項や、Manjaroって何ができるの?・・あたりを投稿していきます。

1.Manjaroの特徴・何ができるか・・

さて、Manjaroですが、DistroWatch.comのベースヒットランキングもベスト5以内の常連となっており世界的な人気度も定着しているように思えます。

透明性の高さで定評のあるArchをベースとして使用しているDistributionの中で、ベスト5以内に定着してきたものとして、他に、Antergosの後継と言われているEndeavourOSがありますが、こちらが、純正のArchベースと考えると、Manjaroは、准Archベースと考えたほうが良いかもしれません。同じ、ローリング・リリースですが、Manjaroの場合、repositoryが独自であり(AUR:Arch User RepositoryはArchと同じですけど)、独自のチェック機構により、インストール対象のソフトウェア、ライブラリ群の品質面の向上を実現している他、Archには無い、様々な管理・設定用ツール群をpre-installし、Arch linuxの設定の難しさの敷居をかなり下げているためです。

特にManjaroの管理・設定用ツール群を用いることによって、一手間は必要なものの、日本語化されない一部のアプリケーションの日本語化や、日本語input methodのインストール・設定はコマンドレスで行えるようになっています。

また、pamacいわゆる”ソフトウェアの追加と削除”においては、Manjaro repositoryの他、AUR、flatpak、snapをまとめて取り扱えるようになっており、pamacを使ってインストール可能なソフトウェア・ライブラリ群の品揃えは、他のベースLinux例えばUbuntu base等Linuxと比較し、間違いなく上です。またこれらのアップデートもまとめて行えるため、使い勝手も申し分ありません。

例えば、Linux Mintにpre-installされる特徴的なアプリケーション・・webapp-manager、warpinator(ファイル送受信)、Hypnotix(インターネットTV)は、pamacを使ってインストール可能であり、これらは問題なく動作しますので、使用可能なアプリケーション群という観点で言えば、ManjaroのLinux Mint化も行えます。

Webapp-manager on Pamac

Hypnotix on Pamac

Warpinator on Pamac

Manjaro上のWebapp-manager定義のGoogleスライド、Hypnotix、Warpinator起動例

また、Google Chrome、Microsoft Edgeもpamacを使ってインストール可能となっています。
Google Chrome on Pamac

Microsoft Edge on Pamac

ManjaroにインストールしたGoogle ChromeとMicrosoft Edge起動例

次にPop!_OSで利用可能なPop shell系サービスもpamacを使ってインストール&利用可能です。ただし、これはManjaro Gnome edition向け限定となります。これによって、Pop!_OSの例えば、Window tillingの機能等が使用可能となり、Manjaro Gnome editionのPop!_OS化を実現する事もできます。
Pop shell系サービス on Pamac

利用できるソフトウェア・ライブラリ群が、莫大であるため、いかような利用目的にも対応できるデクトップ環境が、Archと比較しかなり平易に構築できる点・・これがManjaroを使う大きな魅力の一つとなっています。

2.Manjaroのデスクトップ環境の中でどれを選ぶか・・?

次に使用可能なデスクトップ環境ですが、オフィシャルeditionとして、Xfce、Gnome、KDE 各editionがあります。品質面から言えば、基本として、この3種類のデスクトップ環境から選択します(他に、コミュニティeditionがあり、LXQtや、LXDE、Cinnamon、Budgie、Mate等が利用可能ですが、オフィシャルeditionと比較すると品質が若干落ちます)。最近、デスクトップ環境のエンハンスが激しく行われているのはGnomeとKDE各editionとなりますが、軽快性と機能性のバランスを重視するならば、Xfce editionを、そこそこの軽快性とより高い機能性、面白さを重視するならば、Gnome editionを選択する・・といった考え方で良いものと思います。現時点で最新のManjaro 21.2.5  Gnome editionについては、Gnome 41を使用しており、近い将来Gnome 42に移行する予定となっています(既にManjaro Team、コミュニティでのtestが佳境です)。

極めて高機能なデスクトップ環境KDE Plasma5を搭載するKDE editionに関しては、インストール直後のメモリー消費量は少ないものの、やはりレスポンス等動作上の軽快性はXfce、Gnome editionと比較すると劣る点、また、高機能であるが故にデスクトップ環境自体の設定をちゃんと行おうと思った時に、作業が割に煩雑となるため、KDE好き以外はあまりオススメできません。とはいうものの、例えば、見た目をWindows 11そっくりさんのデスクトップ環境を作りたい・・みたいな目的がある場合は、酷似度の観点でKDE edition一択となりますので、このあたりは目的に応じて・・という事になります。
以前KDE editionで作ったWindows 11そっくりさんデスクトップ

3.設定上の注意事項

次に設定上の留意事項・注意事項に関して投稿を勧めていきます。

3.1 初期設定・・repositoryの最適化・システムアップデート/アップグレード

初期設定序盤の作業の流れに関しては・・

① repositoryの最適化:sudo pacman-mirrors --fasttrack
→ソフトウェアインストール/アップデートの高速化

② システムアップデート/アップグレード:sudo pacman -Syyu
→Manjaroの最新化

この順で行う旨、当方のブログでは書いています。しかしながら、①のrepositoryの最適化を行ってもManjaro repositoryとして国内サーバーがセットされない事があります。
確認方法としては、/etc/pacman.d/mirrorlistをcatで参照すればわかります。

pacman-mirrorsは、manjaro特有コマンドであり、Archにはありませんが(Archでrepositoryの最適化を行う場合は、reflectorコマンドをインストールして使用します)、fasttrack以外に様々なオプションがあり、Manjaro repositoryとして、どうしても国内サーバーをセットしたいという場合は、countryオプションを使います。

sudo pacman-mirrors --country Japan

上記コマンドをターミナルに投入後、/etc/pacman.d/mirrorlistを確認すると以下のようになります。

何回か、sudo pacman-mirrors --fasttrackを時間あるいは日を変えて実行すれば、国内サーバーがrepositoryの上位にセットされますので、一般的には、無理にcountryオプションを使用する必要はありません。

他、pacman-mirrorsのオプションとして、protocolがあり、httpsが使えるサーバーのみをrepositoryとして設定でき、セキュリティ的には◎となりますが、country オプションと併用した場合、国内においては該当サーバーが1つのみとなり危険ですので、上記例では使用していません。

3.2 初期設定&日本語化残処理の一部・・Manjaro Setting Manager

初期設定や、日本語化残処理に一部(日本語化されずはずなのに、日本語化されないアプリケーションの日本語化)の中核的役割を果たすのがManjaro Setting Managerとなります。


”ロケールの設定”は、日本語指定でインストールすればまず触る必要はありませんが、”時刻及び日付の設定”は初期設定の中で設定しておく方が無難です。

1)時刻及び日付の設定

”時刻及び日付の設定”を起動すると、初期状態は以下のようになっています。

初期状態では、ネット上のタイムサーバーとの同期が行われていませんので、Manjaro上で正確な時刻を刻ませるために、”自動的に日付と時刻を設定”にチェックを入れます。さらにWindowsとのデュアルブート構成の場合は、Manjaro使用後、Windows側の時刻にズレが生じますので、これを収拾するため、”ローカルタイムゾーンでのハードウェアクロック”にもチェックを入れ、適用ボタンを押下します。

2)言語パッケージ

”言語パッケージ”は、インストール済みの日本語化されるはずなのに、日本語化されないアプリケーションの日本語化を一括して行います。具体的にはそれぞれの日本語化パッケージをインストールします。これは限定されますが、Firefox、Thunderbird、Libreoffice、GIMPの日本語Helpファイル等が該当します。アプリケーション個々に日本語化パッケージが準備されているものが対象となりますが、更に絞ると、これらアプリケーション中で、Manjaro repositoryからインストールされたものが対象です。flatpakやsnapを使用してインストールしたアプリケーションは、日本語化パッケージも同時にインストールされますので、この処理は必要ありません。”言語パッケージ”は、概ねUbuntu系のlanguage supportに該当します。

この言語パッケージの処理は、pre-installアプリケーション(例えばFirefox)のみを日本語化したいという場合は、初期設定の中で行えば良い事になりますが、後に、GIMPや、Libreoffice等をManjaro repositoryからインストールする事が決まっている時は、これらをインストール後、最後に実行した方が効率的です。

注意事項として、上記処理を行ったとしても、Xfce editionのFirefoxについては日本語化されません。

応急処置として、Firefoxの英語の言語パッケージを削除すれば日本語化されます。
→sudo pacman -R firefox-i18n-en-us
すぐにFirefoxのメニュー等が日本語表示されない場合は、Firefoxを一旦終了し、再度立ち上げれば、日本語化されます。

3)カーネル

”カーネル”に関しては常に触る必要はありません。Manjaroはローリング・リリースの形態であり、システムアップデート/アップグレードを通知に合わせて実行していけば、常に最新状態となります・・が、これはカーネルを除いてという但し書きがあります。
このため、LTSカーネルの最新版が出てきたときには、カーネルアップグレードを本機能によって適時行っていく事が必要となります(カーネルアップグレードが可能になると通知されます)。


4)ハードウェアの設定

これも、Intel純正のハードウェア構成の場合、触る必要はほとんどありません。特殊なグラフィクスやネットワークカード等を使用する場合、ここからドライバーをインストールする事ができます。

Manjaroの設定において、Manjaro Setting Managerは極めて重要な機能群となりますので、ここは必ず押さえた方が良いと思います。

3.3 デフォルトフォントの変更

Manjaroにおいては、日本語指定でインストールすれば文字化けする事なく日本語表示が可能です。ただし、Xfce editionのデフォルト設定では、ターミナルの文字表示が間延びします。

また、他箇所でもManjaro全体を通じて見栄えがあまり宜しくありません。このため、筆者は、noto-fonts-cjkをインストールして・・
→sudo pacman -S noto-fonts-cjk

デフォルトフォントをnoto-fonts-cjkに変更しています(以下はXfce editionのデフォルトフォント変更例。デスクトップ環境により、この方法は異なります)。



これでXfce editionのターミナルの間延びフォント表示等も収拾されます(別途ターミナルのサイズ(横幅等)を必要に応じて変更してください)。

3.4 ソフトウェア管理機能の設定

具体的には、コマンドラインにてAURからソフトウェアインストール等を可能とするyayのインストールとpamac(ソフトウェアの追加と削除)上でAUR、flatpakを利用可能にするための設定に関してとなります。

yayのインストールは、以下コマンドを使用します。
→sudo pacman -S yay

pamac上でAUR、flatpakを利用可能とするためには、pamacを起動→設定画面へ→"サードパーティー"タブの設定内容を以下のようにします。

snapも上記”サードパーティー”タブの設定により利用可能となりますが、flatpakとsnap双方を利用可能にしても全く意味がないため、ここではsnapサポートをOnにしていません。

3.5 日本語化残処理・・日本語入力インストール&設定

日本語入力設定に関しては、"Manjaro Hello"に含まれる"Applications"を使ってibus-mozcかfcitx-mozcがインストール&設定できます(どちらか一択で有る事に注意)。ここではfcitx-mozcのインストール・設定の流れを示します。

Extended language supportを展開し、"Manjaro asain input method fcitx"を選択後、”UPDATE SYSTEM”ボタンを押下→するとfcitx-mozcを選択可能なWindowがポップアップ表示されます。
”fcitx-mozc”にチェックを入れ、選択ボタンを押下
適用ボタンを押下

以上処理終了後、logout/loginでfcitx-mozcが利用可能となります。

waylandを使用しているManjaro Gnome editionに関しても、上記流れで、fcitx-mozcを使用した日本語入力が概ね可能な状態となります。ただし、fcitx-mozcでは無く、waylandをfullサポートしているfcitx5-mozcをインストール・設定すれば、日本語入力できる範囲がさらに広がります(Gnome 40系の検索ボックスに対する日本語入力等)。


Manjaro Gnome editionに対し、fcitx-mozcではなく、fcitx5-mozcをインストール・設定するには、以下の流れで・・

ターミナルを起動し、以下コマンドを投入
sudo pacman -S  fcitx5-mozc fcitx5-im

ホームディレクトリ直下に、以下内容で、.pam_environment を作成し、logout/login・・
GTK_IM_MODULE DEFAULT=fcitx
QT_IM_MODULE  DEFAULT=fcitx
XMODIFIERS    DEFAULT=\@im=fcitx
SDL_IM_MODULE DEFAULT=fcitx
以上処理終了後、logout/loginすればManjaro Gnome edition上でfcitx5-mozcが使用できるようになります。

またgnome 40系のパネルにim-indicatorを表示させたい場合は、gnome shell extensionとして、Input Method Panelが必要です。これは、Gnome Shell Extensionsのホームにて”kimpanel"で検索すれば見つかります。


Manjaroに対し、ibus-mozcもfcitx-mozcと同様な流れでインストールできますが、これだけではibus-mozcによる日本語入力は出来ませんので、ここではfcitx-mozc、fcitx5-mozcによる日本語入力に関してのみ取り上げています。

4.pre-installソフトウェアに関して

Manjaroのpre-installソフトウェアとしてtimeshift等も無論入っており通常使用上あまり困る事は無いものと思います。特筆すべき点は、Office suiteとして、Libreoffice・・では無く、Onlyofficeが導入されています。Onlyofficeに関しては日本語化の評価が以前かなり低かったのですが、最新版は・・意外にいけてるじゃん・・という感じです。無論日本語入力も問題なく・・。


ただ・・デフォルトフォントの変更ってかなり面倒くさいぽいので、当方は、慣れてるLibreofficeにreplaceしましたけど^^;・・・。Libreofficeとwebapp-managerで定義したoffice online&google系サービスがあれば、あまり困る事も無いので・・。

5.pamacによるソフトウェアインストールの考え方

Manjaroにおいてソフトウェア管理を司るものとしては、Manjaro repositoryからコマンドラインでソフトウェアのインストール等を行えるpacman、AURからコマンドラインでソフトウエアのビルド等を行えるyay、ユーザインタフェースを装備し複数種類のソフトウェアインストール等ソフトウェア管理を統合的に行うpamac(ソフトウェアの追加と削除)、他にflatpak、snapサポートがあります。Manjaroのソフトウェア管理を行うにあたって、一般的にはpamacのみの使用で十分ですが初期設定で行うManjaro repositoryの最適化や、引き続き行う最初のシステムアップデート・アップグレードはpacmanを使用します。yayに関しては、pamac(ソフトウエアの追加と削除)でAURを使用可能とすれば、ほぼyayを使わなくても済むようになります。flatpakやsnapに関してもyayと同様です。

言ってしまえば、pamac(ソフトウェアの追加と削除)を押さえれば概ね、Manjaroのソフトウェア管理は押さえられるという事を意味します。

ソフトウェアの検索をpamacにて行った場合、複数のインストール対象が同じ名称でリスティングされます。この場合、Manjaro repositoryの中で最新バージョンのものをインストールすれば一般的にOKです。AURに、より最新バージョンのものがあったとしても、特にこれを選ぶ理由が無い場合は、Manjaro repositoryに含まれる最新バージョンを選択するって事なんですが、AURに関しては、そもそもOwnリスクでインストールする事となっており(Manjaro Teamで保証していません)、Ubuntuで言えばPPAに相当するためです。


pamacのソフトウェア検索によってリスティングされるflatpak、snapのソフトウェアの取り扱いについては、ユーザサイドでよりセキュアな環境が求められる場合に、サンドボックスを使用するflatpak、snapのソフトウェアを率先してインストール・使用していくという考え方で良いものと思います。ただし、flatpak、snapの高い保護性から、これらを使ってインストールしたソフトウェアについては、使用する機能に制限が出てくる場合があります(例えば、flatpakでインストールしたFirefoxでgnome-shell-integrationをインストールしてもまっとうに動作しません)ので注意が必要です。

6.Manjaroの評価

今回は、Manjaro 21.2.5 Xfce editionとGnome editionに関する評価を・・

Xfce edition→機能性:A、安定性:A、軽快性:A、インストール〜日本語化残処理の平易性:Aとなります。

Gnome edition→機能性:S、軽快性:B+、インストール〜日本語化残処理の平易性:B+に変更となります。

Ubuntuや、Debianベースと比較して、特にパッケージ管理ツールの出来の良さ、扱えるソフトウェアやライブラリ群の豊富さはManjaroが◎。Pop!_OSライクにも、Linux Mintライクにも簡単にコンフィグが可能で、万能型Linuxと言っても良い感じです。また初期設定や日本語化残処理に関しても、Manjaro Setting Manager等により、Ubuntu baseのLinux distributionに引けをとらない所まで来ていますので、これで十分かなという所が率直な感想です。

デスクトップ環境としては、Xfce editionが最もバランスがよく対外的にはイチオシですが、筆者個人としては、最近機能拡張が著しいGnome editionが最も楽しいです。確かにKDE editionもKDE plasma 5自体の機能性がそもそもかなり高いため、美しいインタフェースが好みという方には、これを追求してみる・・というのも悪くないかもしれません。デスクトップの外観や機能性のカスタマイズを徹底的に行いたい場合は、KDE editionが最も向いているでしょう。先にあげたWindows 11そっくりさんのコンフィグも豊富なplasma widgetが準備されており、そう手間をかけずに行えますので。。

当方の最近のLinux distributionの評価の中では、このManjaroが最も高くなっています。非常にオススメとなりますが、プリンターの設定の平易性に関しては、各種プリンタドライバー等が主要メーカーから提供されているUbuntu/Debian系の方が勝っています。あまり苦労なくプリンタやスキャナ設定を行いたい・・という場合は、やはり、Ubuntu/Debian系を選択という事になってきます。このあたりは要注意となります。


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