Debian 11 "bullseye" stableは、現在、8月14日のtarget release dateに向け、Full freezeの段階に入っていますが、Debian 11 stableの大きなエンハンス項目の中にfcitx5のサポートが入っています。メジャーなLinux distributionでは、日本語入力環境として現行のfcitx4の人気は非常に高く、fcitx5は、fcitx4との互換性を保ちつつ、X.orgの次世代ディスプレイサーバーWayland環境にも対応したfcitx4の後継の日本語入力環境となります。
今回は、Debian 11 "bullseye"がfull freeze段階に入った直後のDebian 11 "bullseye" testing gnome edition(ディスプレイサーバ:Wayland)上で、debian testing repositoryにあるfcitx5をインストール・設定し、fcitx5-mozcによる日本語入力環境を作った上で、検証してみる事とします。
今回検証で使用したDebian 11 "bullseye" testingのメディアは、7月26日にリリースされたdebian-testing-amd64-netinst.isoとfirmware.zipとなります。
インストールは、wifiを使ったネットインストールを行っています。
この流れは以下の通り。
1)Windows10上で、debian-testing-amd64-netinst.iso及び、firemware.zipをダウンロード
1)Windows10上で、debian-testing-amd64-netinst.isoをrufusを使ってUSBメモリーにインストールメディアを作成
2)Windows 10上で、上記にてインストールメディアとしたUSBメモリーのfirmwareディレクトリに、解凍したfirmware.zipの中身をコピー(Wifiを使用可能とするため)
3)インストールメディアとしたUSBメモリーからPCを起動し、日本語指定でDebian 11 "bullseye" testingをPCのSSDにインストール
大まかには上記のような流れでインストールしています。
さてインストールしたDebian 11 "bullseye" testing gnome editionはの概要は以下のとおりです。
流石にGnomeはバージョン40とはいかず、3.38.5になります。
また、カーネルは、5.10.0-8-amd64 となっています。
Debian 11 "bullseye" testing gnome editionを日本語指定でインストールすると、システムメニュー等やpre-installアプリケーションの日本語化は完了します。また、デフォルトの日本語入力環境はiBus-mozcとなり、パネルのIM-indicatorから日本語(Mozc)を選択するだけで、iBus-mozcによる日本語入力が可能となっています。
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このあたりの平易性は◎です。
日本語指定でインストールすればready to useとなり、あとはお好みに合わせて、デフォルトフォントの変更や使い勝手を上げるためDash to Dockの追加等を行っていけば良いという事になります。
flatpakについては、pre-install対象とはなっていませんので、aptコマンドあるいはsynapticを使ってインストールし、flathubの設定を行った上で、gnome-software-plugin-flatpakをインストールして”ソフトウェア”にてflatpakを利用可能とすればflatpakの設定が完了します。
尚flatpakのバージョンは、1.10.2となります。
次に、今回の主題ですが、Debian 11 "bullseye" testingに、fcitx5-mozcをインストール・設定して、fcitx5-mozcによる日本語入力検証を行っていきます。
まず、fcitx5-mozcをインストールし、im-configを使ってiBusからfcitx5に切り替えます。
1.fcitx5-mozcのインストール
これはターミナルを起動し、スーパーユーザモードにして、以下コマンドを投入します。
→ apt install fcitx5-mozc
以上で、fcitx5-mozc及びその依存関係については全てインストールされます。
2.iBusからfcitx5への切り替え
ターミナルを起動し、スーパーユーザモードにて、以下コマンドを投入して、im-configを起動・・fcitx5に切り替えます。
→ im-config
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OKボタンを押下 |
↓
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Yesボタンを押下 |
↓
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fcitx5にチェックを入れ、OKボタンを押下 |
↓
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OKボタンを押下 |
一旦ここでlogout/loginします。
3.fcitx5の設定
”fcitx5 設定”を起動し、fcitx5の設定を行います。
上記、入力メソッドタブの左側ボックスの最上位がキーボード-英語(US)となっていますので、右側ボックスからキーボード(日本語)を左側ボックスに移動し、キーボード-英語(US)を右側ボックスに移動、左側ボックスのキーボード(日本語)を左側ボックスの最上位に移動させます。
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4.fcitx5 パネル表示用gnome-shell-extensionのインストールと設定
iBus-Mozcの場合、パネルにその状態が表示(im-cindicatorにより)されますが、fcitx5-mozcの場合、パネルにその状態が表示されません。
これはターミナルを起動し、スーパーユーザモードにて、以下コマンドを投入します。
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組み込みの中にある”Input Method Panel"の右側ボタンを右側にスライドさせます。 |
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以上でパネルにてfcitx5の状態表示・設定が可能となります。
パネルにはfcitx5のim-indicatorとして以下アイコンが表示されるようになります。
全角/半角キーを押下すると、以下アイコンに切り替わり、日本語入力が可能となります。
3)設定のリロード
最後に 3.fcitx5の設定 にて、fcitx5の設定変更を行っているため設定のリロードを行います(これは、logout/loginでも構いません)。
以上でfcitx5-mozcによる日本語入力がつつがなく行えるようになります(日本語入力の切り替えは、半角/全角キー押下)
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5.fcitx5-mozcによる日本語入力検証
テスト環境としては以下の通り・・
1)Debian repositoryのアプリケーション日本語入力検証
①テスト対象
①-1 pre-installアプリケーション
Firefox ESR、gedit、Lireoffice writer・calc・impress、カレンダー、Thunderbird
テスト結果
上記アプリケーションでのfcitx5-mozcの日本語入力は問題なく行えます。
①-2 追加installアプリケーション
Chromium、GIMP
テスト結果
Chromium→fcitx5-mozcによる日本語入力は問題なく行えます。
GIMP→キーボード入力が一切効きません(依存関係のインストールのみでは足りない可能性もあります)
2)flatpakアプリケーションの日本語入力検証
テスト対象
Firefox、Chromium、Libreoffice、GIMP
テスト結果
Firefox、Chromium、GIMP→fcitx5-mozcによる日本語入力は問題なく行えます。
Libreoffice→fcitx5-mozcによる日本語入力はできません。
3) 総論
7月26日にリリースされたDebian 11 "bullseye" testingにおいて・・
主要pre-installアプリケーションに関しては、fcitx5-mozcによる日本語入力は問題ないため、十分使えるレベルだと思います。debian testing repositoryからインストールしたGIMPはキーボード入力自体が効きませんでしたが、これは依存関係だけだと何かが足りない事が原因のような感じがしています。
flatpakアプリケーションについてはfirefox、Chromium、GIMPについて、fcitx5-mozcによる日本語入力は問題なく行えます。LibreoficeについてはNGでしたが、Debian testing respositoryからLibreofficeはpre-installされているため、大きな問題とはなりません。
ただし、GIMPは当面の間、flatpakを使ってインストールした方が良いかもしれません。
fcitx5に関しては、Debian 11 "bullseye" stableリリース後に再度検証してく予定です。
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