Ubuntu 20.04.2 LTS 〜インストール時バグの収拾と、HWE(Hardware Enablement Stack)の適用ポリシーの変更に関して

 

Ubuntu 20.04.2 LTSが2021年2月4日にリリースされましたが・・・インストーラの不備により、ネットワーク接続を行った後インストールを行うっていう普通のインストールプロセスでインストールした場合、カーネルがインストールされず、ブートできない事があるという致命的なバグが発見されました。

https://discourse.ubuntu.com/t/psa-20-04-2-install-failure-bug-images-soon-to-be-recreated/20846

Ubuntu 20.04.2(desktop、not server)に加え影響を受けるフレーバーは、インストーラーにUbiquity を使用した下記フレーバーとなります。

Xubuntu 20.04.2、Ubuntu Budgie 20.04.2、Kubuntu 20.04.2、Ubuntu Mate 20.04.2、Ubuntu Studio 20.04.2、Ubuntu Kylin

尚、インストーラーにcalamares を採用するLubuntu 20.04.2はこの影響を受けません。

2020年2月11日(日本時間では2月12日)に、上記影響を受けるフレーバーを含め、このバグが修正された新しいインストールイメージがリリースされています。

https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-announce/2021-February/000265.html

このため、新たに最新のUbuntu LTS(長期サポートedition)をインストールする場合は、2月12日以降にインストールイメージを取得しインストールした方が無難です。

また、HWE(Hardware Enablement Stack/直前の最新Ubuntu xx.10のカーネル+Xスタック)の適用ポリシーが、Ubuntu 20.04 LTSから変更されたのをご存知の方も多いものと思います。

Ubuntu 20.04.2になって初めてUbuntu 20.04のHWEが適用されますが、従来ポリシーですと、Ubuntu 20.04.1、Ubuntu 20.04を20.04.2へアップデートした際は、HWEが適用されず、カーネルも5.4シリーズのままという事になります。Ubuntu 20.04 LTSからは、Ubuntu 20.04.1、Ubuntu 20.04に対しても通常のアップデート処理により自動的に、最新のUbuntu xx.10のHWEカーネルにアップデートされ最新のハードウエアサポートを行うようになっています。ただし、ユーザインタフェースを使ってアップデートする場合は、HWEをアップデートの対象から外せます(一般的には、外す必要はありません)。

今回は、Ubuntu 20.04のデスクトップ環境から、アップデート処理を行い、Ubuntu 20.04であってもUbuntu 20.04.2にアップデートする際にHWEが適用されるのか否か・・これを検証してみる事にします。

使用するのは、Ubuntu 20.04 をネットワーク接続無しでインストールし、インストール後、ネットワーク接続を行い、アップデート処理を行った後どうなるかを見ていきます。


1. Ubuntu 20.04インストールイメージを使ってネットワーク接続無しでUbuntu 20.04 LTSをインストールした直後の環境


カーネルは、5.4.0−29-generic、lsb_release -aでのOS descriptionは間違いなくUbuntu 20.04 LTS・・first Ubuntu 20.04 LTS です。

2. Ubuntu 20.04をネットワーク接続し累積アップデートを適用した直後の環境

Ubuntu 20.04 LTSをネットワーク接続しアップデートをかけます。


アップデート対象に、カーネル5.8・・HWEカーネルが含まれている事がわかります。

”今すぐインストール”ボタンを押下し、アップデートを適用します。

この後、再起動し、lsb_releaseコマンド、uname -rで確認してみると・・

Ubuntu 20.04.2となり、カーネルが5.4からHWEカーネル5.8に引き上がっている事が確認できます。

Linux Mintの場合は、Ubuntu 20.04 LTS first releaseで採用したカーネルバージョンをMintバージョン20.xの間は変えないというポリシーはそのままとなっており、Linux Mint 20.1のケースは、edge editionとしてcinnamon editionのみ別途カーネル5.8版のインストールイメージをリリースしていますが、他のXfce、Mate editionではカーネルバージョンは5.4のままです(最もMint 20.1リリースタイミングが、ubuntu 20.04.2よりも早いため、Mintの場合は、Linux Mint 20.2リリースの際に本HWEの件は最終的に確認できます)。

ざっと見た感じでは、Ubuntu 20.04&20.04.1フレーバーに関してはHWEの自動適用がなされるもの、なされないものがあります(例えばUbuntu Budgieに関しては、アナウンスメントの中にUbuntu Budgie 20.04(or 20.04.1)からUbuntu Budgie 20.04.2へのアップデートの際、HWEは自動適用される旨、記載されていますが他のフレーバーに関してはなされていないものが存在します)。まずはこのHWEポリシー適用の変更はUbuntu本体から順次・・という事のようです。そのうちにフレーバー全体、他のUbuntu baseにも広がっていくものとは思いますが・・。

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