Linux Mint 19.3 "Tricia" Xfce edition 〜Linux Mint 19.3 "Tricia" Xfce editionを徹底カスタマイズ!・・Firefox + 最新ice ssb managerによるMS Office Online定義とその結果は如何?


1年前に、Linux Mint 19.1 "Tessa" Xfce editionの徹底カスタマイズ編につき、投稿しましたが、1年を経過し、内容が若干古くなってきましたので、今回は、最新Linux Mint 19.3 "Tricia" Xfce editionを対象に、徹底カスタマイズ編として書き直します。

Linux Mint 19.3 "Tricia"はデスクトップ環境としてメインデスクトップ環境であるCinnamon、他に、Mate、Xfce4を選択できます。Cinnamonは、Linux Mintのために開発されたデスクトップ環境であり、Linux Mintとの相性は抜群、Mintの中ではFull specデスクトップ環境という位置づけとなります。かたや、MateとXfce4はMintの機能性はそのままに、より軽快・軽量タイプデスクトップ環境を実現するために提供されていますが、軽さ・・という視点で見た場合、Mateが最も軽く、Xfce4がこれに続くという感じとなっています(ただし、軽快性において大きな差はありませんので、ほぼ同等と見たほうがいいかもしれません)。
Linux Mint 19.3 Mate editionの初期消費メモリー容量

Linux Mint 19.3 Xfce editionの初期消費メモリー容量

Mateはご存知のように、Gnome2外観を実現するデスクトップ環境ですが、中身はほとんどGnome3にreplaceされてきており、どちらかといえば、Gnome-shell等の重くなる要素を省略し軽快性を実現しているデスクトップ環境となっています。

カスタマイズの平易性から言えば、なれの問題もあるものの、Xfce4の設定方法を押さえておけばMateの設定は概ね可能です。Xfce4の設定を押さえている場合、若干、Mateの設定内容に関して制限を感じてしまう可能性はありますが。。

今回は、Mate editionでもよかったのですが、筆者にとってMateがあまり好みで無いという理由から、申し訳ありませんが、Linux Mint 19.3 "Tricia" Xfce editionを徹底カスタマイズ・・という事で投稿を進めていきます。

尚、本稿に掲載するスクリーンショットには、conkyを表示させているものがありますが、conkyの設定に関し本稿では触れません。

1.概要

1)ベース:Ubutnu 18.04.3ベース(HWE適用済み)

2)デスクトップ環境:Xfce 4.14(最新)

3)カーネル:5.0.0-37-generic
meltdown/spectre等HW脆弱性緩和策適用度は・・
まず問題の無いレベルとなっています。

2.インストール(GPT/UEFIケース)

本体及びブートローダーのインストール先は環境依存のため参考になりません。
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3.初期設定

初期設定は、Cinnamon editionとほぼ同じです。以下本ブログのCinnamon editionの投稿記事を参照・・

違いは、Cinnamon editionの初期設定には”デスクトップレイアウト”の設定項目がありますが、Xfce editionにはこれがありません。

Cinnamon editionの初期設定メニュー
Xfce editionの初期設定メニュー

Mate editionの初期設定メニューは、Xfce editionと同じとなっています。

初期設定が完了すればアプリケーションメニューの日本語化が完了し、fcitx-mozcによる日本語入力も可能となります。

4.基本設定

1)パネル上の”時計”の設定修正
”ツールチップの形式”の設定が日本語表記に対応しておらず年月日等の並びが欧米風になっています。
これは”時計”のプロパティから”ツールチップの形式”を修正する事により対応します。
例えば以下のような感じに。。
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2)パネル上に新しいアイテムとして"ワークスペーススイッチャー”と”天気予報”を追加

これはパネル上で、マウス右ボタンクリック→”パネル”→”パネルの設定”→”アイテム”タグで”+”ボタンを押下し、”ワークスペーススイッチャー”と最新の天気”を選択・追加します。
設定は、パネルに追加後、それぞれのプロパティから。。

以下のような画面遷移となります。。

<パネルアイテム:ワークスペーススイッチャーと天気予報の追加>
パネル上でマウス右ボタンクリック→”パネル”→”パネルの設定”を選択・実行
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”アイテム”タグへ移動
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”+”ボタンを押下
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”ワークスペーススイッチャー”を選択して追加ボタンを押下
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”最新の天気”を選択して追加ボタンを押下

 <パネルアイテム:ワークスペーススイッチャーの設定>
パネルのワークスペーススイッチャー上でマウス右ボタンクリック→プロパティ
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筆者はパネルスペースを節約するためワークスペースを2段+ミニチュアにしています

<パネルアイテム:天気予報の設定>
パネルの”最新の天気(天気予報)”上でマウス右ボタンクリック→プロパティ
天気予報のプロパティを選択・実行すれば天気表示地域は自動設定

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外観の設定はOption。筆者はSimplisticに変更
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外観をSimplisticに変更した場合の表示結果

パネルアイテムの移動はパネル上の該当アイテム上でマウス右ボタンクリック→”移動”を選択

3)ウィンドウマネージャー(詳細)の設定

ここではコンポジットマネージャーの設定(影の付け方等)やマウス使用時のワークスペースの切り替え方法等を指定します。

これは、”設定マネージャー”→”ウィンドウマネージャー(詳細)”から。。
ウィンドウマネージャー(詳細)を選択・実行

<”循環”タグでの設定> 

ワークスペースを循環させるためには、以下のような設定変更を行います。
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<”ワークスペース”タグでの設定>

マウスホイールでワークスペースの切り替えを行う場合は、以下のような設定変更を行います。。
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<”コンポジット処理”タグでの設定>

デフォルトの設定だと、plank等のドックをデスクトップに追加した場合不要な影が出ます。これを防ぐためには以下のような設定変更を行います。
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4)デスクトップ上に表示させるアイコン定義

デスクトップ上アイコン表示・非表示設定は、”設定マネージャー”→”デスクトップ”→”アイコン”タグから

”アイコン”タグに移動
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上記スクリーンショットの下部にデスクトップに表示させるアイコンが選択できるようになっています。筆者の場合は、ドックとしてplankを使用するため、デスクトップ上のアイコンは非表示(チェックをすべてOff)にしています。

5)システムデフォルトフォントの変更

これは必要に応じて・・という事になりますが、当方にとって、noto san cjk jpが最も見やすいためシステムデフォルトフォントやアプリケーケーションフォントのデフォルトをnoto sans cjk jp系フォントに変更しています。

これは”設定マネージャー”→”外観”→”フォント”タグから。。
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並行して筆者はLibreOffice、Firefoxのフォント設定も変更しています。


5)Firefoxの検索エンジンの変更

これは自身の個人情報保護の観点から、行うべきかどうかは各個人の判断です。Mintのデフォルト検索エンジンDuckDuck Goをgoogleに変えてしまうと、googleにより検索・参照結果がパーソナライズされ、任意の広告付きホームページを参照した際に検索結果に関連した広告が出てくるようになります。このあたりを踏まえた上で検索エンジンをGoogleに変える場合は以下の流れで。。
”他の検索エンジンを追加”を選択
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5)ウィンドウボタンのグループ化

筆者はパネルスペースを節約するため、ウィンドウボタンのグループ化を行っています。
これはパネル上で右ボタンクリック→”パネル”→”パネルの設定”→”アイテム”タグへ移動→”ウィンドウボタン”を選択→”アイテムの編集”ボタンを押下で設定が可能です。
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起動済み同一アプリケーションのウィンドウボタンがグループ化されます

6)その他設定

パネルの位置をデスクトップ下部から上部へ移動するためには、パネル上でマウス右ボタンクリック→”パネル”→”パネルの設定”→”表示”タグの、”パネルをロックする”のチェックを外します。これで、マウスによりパネルをドラッグし、デスクトップ上部に移動、この後、再度、”パネルをロックする”にチェックを入れて終わり。。

ドックであるplankのインストールは、sudo apt install plank をターミナルから投入する事によって。plankはアクセサリーグループに所属しますので、アプリケーションメニュー→アクセサリー→plankを選択する事によって実行できます。plankの初期表示位置はデスクトップ下部中央。plankの設定はplank上でCtrl+マウス右ボタンクリックにて表示されるメニューから”設定”を選択すれば行えます。

5.最新ice ssb manager 6.0.8を使用したMS Office Online/Google calendar設定

前回、Peppermint 10 respinについて投稿しましたが、今回はLinux Mint 19.03 "Tricia" Xfce editionにPeppermint 10 respinに搭載される最新ice ssb manager 6.0.8をインストールし、Firefox上でMS Office Online、Google calendarの設定を行ってみます。

従来、ice ssb managerではFiefoxを使用して、MS Office Online定義をした場合、MS Word Online等各コンポーネントのメニュー等の日本語化はできませんでした(fcitx-mozcによる日本語入力は可能です)。Peppermint 10 respinではここが改善されているため、Peppermint 10 respinに搭載される最新ice ssb manager 6.0.8+Firefoxにより、Linux Mint 19.03 "Tricia" Xfce edition上でもうまくMS Office Onlineが日本語化されるかどうか確認してみます。

1)ice ssb manager 6.0.8のインストール

ice ssb manager 6.0.8のDebファイルは以下に存在します。

https://launchpad.net/~peppermintos/+archive/ubuntu/p10-respin/+files/ice_6.0.8_all.deb

これをFirefoxのアドレス入力欄に入力後、エンターキーを押下。続けてGDebiパッケージインストーラを使ってice ssb manager 6.0.8をインストールします。
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2)ice ssb manager 6.0.8によるMS Office Online及び、Google calendar定義

ice ssb managerはオンラインアプリケーションに対し、ローカルアプリケーションの如き操作性や外観を実現します。このため、ice ssb manager定義を行う際には、オンラインアプリケーションを起動するためのwebアドレスが必要となります。これは昨年のLinux Mint 19.1 "Tessa" Xfce editionの記事中にも含めましたが、以下にまとめて記載しておきます。

MS Word Online→ https://office.live.com/start/Word.aspx
MS Excel Online→https://office.live.com/start/Excel.aspx 
MS Powerpoint Online → https://office.live.com/start/PowerPoint.aspx
Google calendar→https://calendar.google.com/calendar/r

上記それぞれのアプリケーションアイコンも定義できますが、アプリケーションアイコンは版権の問題もあり、ここではとり方等に関して触れません。

当然の話ですが、MS Office onlineを利用するためにはMSアカウントが、Google calendarを利用するためにはGoogleアカウントが必要になります(無料)。

あとは、ice ssb managerを起動して定義するだけです。ice ssb managerは、インストール後、アプケーションメニューのネットワークカテゴリーに"ice"という名前で存在しますので、これを選択・実行します。
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例えばそれぞれ以下のような定義を施し”適用ボタン”を押下すれば定義は終了します。

①Word Online

②Excel Online

③PowerPoint Online

④Google calendar

アプリケーション名は、オンラインアプリケーション名、オンラインアプリケーションのwebアドレスは前述したとおり、メニュー内の場所は、アプリケーションカテゴリを選択・・筆者は”オフィス”を選択しています。アイコンは各オンラインアプリケーションのアイコンを・・ここで指定しなければ、iceの標準アイコンが使用されます。”ブラウザのプロファイルを独立させてSSBを作成する”にはチェックを入れます。ice設定画面の最下部には使用するブラウザを指定できるようになっていますが、Firefox以外のブラウザはpre-install対象にはなっていませんので、初期状態で使用ブラウザはFirefoxに固定されます。

以上ice ssb manager 6.0.8を使った定義作成が完了すると、アプリケーションのオフィスカテゴリーにMS Word、MS Excel、MS PowerPoint、Google calendarが出来上がりますので、これを選択・実行すれば、各オンラインアプリケーションがローカルアプリのように立ち上がる・・という結果になります(以下参照)。やはりFirefoxでもメニュー等は日本語化されているのがわかると思います。
MS Word Online

MS Excel Online

MS PowerPoint Online

Google Calendar

よりシームレスにice ssb manager定義したオンラインアプリケーションを利用するためにはブラウザーに対し、MSアカウント+パスワードやGoogleアカウント+パスワードを保存しておく必要があります(1回目のサービス利用時には必ずOffice OnlineではMSアカウント+パスワード、Google calendarではGoogleアカウント+パスワードを聞かれますので、これをブラウザに保存すれば以降アカウントとパスワードを聞かれる事はありません)。

Office Online定義の際、Firefoxをice ssb managerで使用した場合にはタイトルバーにMozilla Firefoxという文字が出力されるため、ブラウザ表示されている事が認識できてしまいます。これが気になる場合は、iceで使用するブラウザとしてChrome、Vivaldiをインストールして使用すれば解決できます。
上記スクリーンショットの左側Word Onlineが、Vivaldiを使用、右側が、Firefoxを使用してice ssb manager定義を行っています。
タイトルバーを見ればわかると思いますが、vivaldiを使用している方はブラウザ名が表示されないため、よりローカルアプリケーション感が強まります。

6.評価

今回は徹底カスタマイズ編のため、評価はいらなかな・・と思いましたが、カスタマイズをあまりしないで使用する事を前提に評価を行ってみると・・

機能性:A、軽快性:A、インストール・初期設定・日本語化残処理の平易性:A、安定性:A

となります。いわゆる全評価項目が極めて高いレベルにあり、しかもバランスが取れているという点は特筆すべき事項ではないかと思います。

今回は1年ぶりのMint Xfce edition徹底カスタマイズ編に関して投稿しましたが、次回は、今から1年後・・今度は、Linux Mint 20.1 Xfce editionを対象としてという事になるでしょう。その頃は、MintもPeppermintもUbuntu 20.04 LTSベースとなっており、果たしてどんな世界を実現しているのか・・楽しみな所です。


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