SplydXKのサポートページを見る限り、リリース直後にインストールを試みたためにこの現象は起きていたようですが、現在はインストールスクリプト等にまっとうなアップデートがかかるため、UEFI及びlegacy BIOS双方でインストールは可能となっています。
さて、SolydXKですが、起源はLMDE(Linux Mint Debian Edition)であり、2012年にLMDEにおけるKDEとXfce editionのメンテナンス終了に伴い、その後継プロジェクトの結果として誕生しています。SolydXがXfce edition、SolydKがKDE editionを示し、SolydXKはこの2つの総称となっています。そもそもは、Debian testingをベースとしていましたが、現在は、Debian stableベースとなっており、stableの枠を超えないという観点で、安定性は◎となります。
またXfce editionとしては軽快性もまずまずであり、Welcomeメニューから追加インストールできるソフトウェア群により機能性も格段に向上します。
login直後の消費メモリー |
惜しむらくは外観にそんなに力を入れている節がなく、どちらかといえば、同じ外観の雰囲気であっても筆者としてはブルー系に統一されたSolydKの方が好みです・・でも・・50歩100歩ですけど( ^^ ;。という事で冒頭や末尾のスクリーンショットは結構カスタマイズしてしまった後のためオリジナルの痕跡はあまり留めていません( ^^ ;。オリジナルは以下のような感じ・・。
見かけよりは実を取るタイプのDistributionではないかと・・。
今回は、Debian 10.1 "Buster"ベースXfce editionのSolydX 10を取り上げ、特に初期設定、基本設定部分につき注意すべき事項を投稿していきます。
1.概要
1)ベース:Debian 10.1 "Buster" stable
2)デスクトップ環境:Xfce 4.12
3)カーネル:4.19.0-6-amd64
2.インストール(GPT/UEFIケース)
本体及びブートローダーのインストール先は環境依存となりますので参考になりません。
ブート直後のメニューにて”Localization Support”を選択し、言語設定を行います(legacy BIOSを使用した場合は、"Localization Support"の選択肢が出てきませんので注意ください)。
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"日本語"を選択してエンターを押下→ブートが継続されます |
以下は、ブート後のインストールの流れとなります。
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login ID/Passwordを入力 |
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上記はUEFI特有の設定です |
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3.初期設定
1)Welcomeメニューの処理
ソフトウエアの追加インストール等が行えます。
チェックがついている箇所は筆者がインストールしたものです。
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様々なソフトウエアやゲームをインストールできるようになっています。NordVPNのインストールが可能となっていますが、セキュリティ上の懸念事項もあり筆者は導入していません。2)repositoryの最適化とシステムアップデート&アップグレード
repositoryの最適化は、”設定マネージャー”→”SplydXK System Settings"→"Repositories"から。この作業を実施する事によりソフトウエアアップデート・アップグレードにかかる時間を短縮化します。
まずは、”ミラーの速度を確認”ボタンを押下し、速度表示をさせた後に、最も早いサーバーを選択します。
SplydXKのrepositoryで最も速度が早いものはフィリピンにあるサーバ・・
上記は選択前のスクリーンショットです。402kbp/sのフィリピンサーバーを選択します。 |
Debianのrepositoryで最も早いものは無論国内サーバー・・
上記は選択後のスクリーンショットです。 |
となりますので、それぞれにチェックを入れ”ミラーを保存”ボタンを押下します。
このあたりLinux Mintのrepository設定とよく似ていますが、MintがDebian(Ubuntu) repositoryとMint repository設定を分けて行えるのに対し、SolydX 10はひとまとめに行う流れとなっていますので、注意が必要です。すなわちSolydX 10は、SolydXKとDebianそれぞれのrepository変更を一箇所で行うようになっているため、必ず2箇所にチェックを入れる必要があるという事を意味します(repository一覧を見たとき最初の7行にSolydXK repositoryが、その後ろにDebian repositoryが並んでいます)。
以上処理終了後、ターミナルから以下コマンドを投入してシステムアップデート・アップグレードを完了させます。
→sudo apt update;sudo apt upgrade
以上で、初期設定は完了です。
4.日本語化残処理
特に日本語化残処理は発生しません。
インストールが終了すれば、fcitx-mozcのインストール・設定を含む日本語化は全て完了した状態となります。これは極めて優秀・・。
5.基本設定
1)システムのデフォルトフォントの修正
システムのデフォルトフォントが、”WenQuanYi Zen Hei”・・最近はあまり見かけなくなった中華フォントになっていますので、必要に応じて変更します。今回は面倒なので、fonts.confをホームディレクトリの.config/fontconfigディレクリ直下に書いて、fc-cacheを行いデフォルトフォントをNoto Sans CJK JPに変えています(fonts-noto-cjkは別途インストールする必要があります。Takaoフォントはpre-installされているため、これをデフォルトフォントにしてもかまいません)。
あとは主要アプリのフォント設定状態を確認し、直ってない所を修正するという流れです。主要アプリケーションのデフォルトフォントの変更方法は、今まで何度か投稿していますので割愛です。
2)composite managerの設定変更
plank等のドックをインストールしてデスクトップに表示させる場合、デフォルトでは不要な影がドックに表示されます。このため、”設定マネージャー”→ウィンドウマネージャー(詳細)”→”コンポジット処理”と進み、"ドックウィンドウに影を落とす"のチェックを外します。
plank上部に太線のような影が出ています |
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plankの影が消えます |
3)login画面の修正
Login画面では、上部パネルに日時が日本語出力されるようになっていますが欧米風の並びです。気になる場合は、”設定マネージャー”→"Light DM GTK+ Greeterの設定”→”パネル”の”時刻のフォーマット"を修正します。
修正前 |
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修正例 |
Firefox ESRの検索エンジンがデフォルトでは”Startpage"になっており、日本ではろくな検索結果が出てきません。このためStartpageからGoogle等に検索エンジンを変更します。
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大体こんな所で使用に耐えうる環境となります。筆者は加えて、conkyのインストール・設定、各種テーマ、壁紙変更、plankのインストール・設定を行っており、冒頭及び末尾のスクリーンショットような外観に仕上げています。
6.評価
機能性:A、安定性:A、インストール・初期設定・基本設定の平易性:B+、外観:C、軽快性:A、日本語化の平易性:S
といった評価となります。日本語化のみとってみれば評価はSランクですが、デフォルトフォントの変更や、repositoryの変更等若干難易度があがる結果となっています。また、UEFI環境下でのインストールも他のDebianベースと比較して指定方法が若干異なるため、注意が必要です。外観に関しては、Cランクにしていますが、これは自分で変えられるため、大きな評価ポイントではありません。
細々した所で調整は必要ですが、機能性・安定性・日本語化の平易性では特筆すべき出来ですので、筆者おすすめ、一押しの一本となります。
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