Linux Lite 6.4 〜英語環境でのデスクトップを正式サポートするLinux Lite 6.4を日本語環境でも使えるようにしてみる・・


Linux Lite 6.4リリースです。Ubuntu 22.04.2ベース、採用するデスクトップ環境はXfce・・バージョンは4.16。カーネルは5.15シリーズを採用する軽量&easy of useなU.S.産Linux distributionです。基本的にLiteデスクトップは英語環境のみを正式サポートするため、日本語環境においてはLinux Liteのデスクトップ独自機能は使えず、見かけ日本語化できますが、日本語環境においては様々な不具合を生じます。Linux Lite 6.4は、日本語環境において使用に耐えうるようにするため、注意深く設定を進めていくいく必要があり、日本語入力環境ができたから・・さあ使えますよーといった類のUbuntu baseではありません。今回は、Linux Lite 6.4につき、日本語環境において、できるだけ過不足なく利用可能とするまでの設定方法を中心に投稿を進めていく事とします。

Linux Liteは2012年にLinux Lite 1.0がリリースされてから概ね10年を経過するUbuntu baseのLinux distributionとなります。当初からWindowsに変わるLinuxとして軽量かつeasy of useをうたったLinuxとなっています。当初は、デスクトップ独自機能もなく、日本語化においても目立つ問題は発生しませんでしたが、デスクトップ独自機能を搭載し、更に機能拡張を行ってきたきた結果、Liteデスクトップは英語環境のみ正式サポートとうたってる事もあり、何もしなければ英語以外のロケールでは、Lite独自のデスクトップ機能が使えず、ローカリゼーションにおいても、英語環境では問題が出ないものの、英語環境以外ではうまくローカライズできない箇所が出てきます。単発のセットアップで、ある程度使い込みをしない場合、これら問題に気が付かない所にLiteのいやらしさがあるわけですが、できるだけこれら問題を収拾し、日本語環境でも利用に耐えうる状態までこぎつけられれば、かなり使いやすいデスクトップを持ったLinuxとなります。

問題となるのはインストール時に日本語キーボード指定をしても英語キーボードレイアウト固定となっている点、Ubuntu repositoryにあるバージョンとは異なる新しいLibreOfficeをpre-installしているため、LibreOffice日本語化パッケージとのバージョンが合わず、結果日本語化できない点、pre-installされるVLCは、VLCの各国語サポートパッケージのインストールが行われてないため、結果日本語化できない点等が挙げられます。また、タイムサーバーとの同期はロケールに関わらず、デフォルトではできないようになっているのがなんとも・・。最後に当方の環境では、language supportを使ったiBus-Mozcの設定後iBus-Mozcが利用可能とはなりませんでしたが、これは、英語キーボードを日本語キーボードに設定し直す等の独自設定が影響を与えている可能性があります。

これらを収拾した上で、ある程度Lite独自のデスクトップ機能を日本語環境でも使えるようにもっていく・・という事が今回の投稿の主題となります。

1.概要

1.1 ベース:Ubuntu 22.04.2

1.2 デスクトップ:Xfce 4.16

1.3 カーネル:5.15シリーズ


2.インストール(GPT/uefi、セキュアブートOff)

インストールメディアからブートすると、Lite Welcome windowが表示されます。ここからLiteのインストールが行えます。

INSTALL NOWボタンを押下
言語を日本語に・・
キーボードを日本語指定

以上でインストール処理は完了です。

注意)インストール先は環境依存となりますので参考になりません。

2.初期設定

2.1 ホーム配下のディレクトリ名設定

インストール→再起動→loginすると、Lite Welcomeが起動しますが、このWindowの下に隠れるように、ホーム配下のディレクトリ名設定Windowが起動します。一旦、Lite Welcome Windowを最小化し、ホーム配下のディレクトリ名設定Windowの処理を行います。

この処理では、以下のように、ディレクトリ名を英語表記のままにします。

この処理によって、Xfce4 WhiskerメニューのMy Computerにあるディレクトリ内表示等Linux Liteデスクトップ独自機能の利用が概ね可能となります。


2.2 repositoryの最適化

repositoryについては、Lite repositoryが国内にないため、Ubuntu repositoryのみ国内サーバーに設定します。これはpre-installされるsynapticを使用します。

synapticのSettings→Repositoriesを起動します
プルダウンメニューを使って"Download for 米国"を"Download for 日本”に変更します
"Reload"ボタンを押下します

2.3 システムアップグレード

システムアップグレードは、Lite Welcomeを使って行えますが、synapticを起動しましたので、synapticを使って行ってしまいます。

Mark All Upgardesボタンを押下
Markボタンを押下
Apply all marked changesボタンを押下
Applyボタンを押下
システムアップグレードが開始されます

2.4 キーボードレイアウトの変更

U.S.キーボードを使用している場合は必要ありませんが、日本語キーボードを使用している場合は、インストール時に日本語キーボード指定を行っていても、U.Sキーボードレイアウトに固定されてしまうためこの処理は必要です。この処理は設定マネージャーのキーボードを使います。

レイアウトタブに移動
”システムのデフォルトを使用する”の右端にあるボタンを左へスライド
”キーボードレイアウト(B)”セクションの最下左端の”+追加”ボタンを押下
キーボードレイアウトセレクションWindowが表示されるため、この中からJapaneseを探して選択→OKボタンを押下
”キーボードレイアウト(B)”のEnglish(US)を選択後、”ー削除(R)”ボタンを押下し、English(US)を削除

以上でキーボードは日本語キーボードレイアウトとなります。

2.5 時刻の調整

Liteの時刻をネット上のタイムサーバーと同期させます。

このため、systemd-timesyncdをインストールします。これはターミナルを起動し以下コマンドを投入します。

→sudo apt install systemd-timesyncd


以上で、Liteの時刻がネット上のタイムサーバーと同期します。

Windowsとのデュアルブート構成の場合は、Lite使用後、Windowsを使用するとWindows側の時刻に狂いが生じます。このため、ターミナルを用い以下コマンドを投入してこれを収拾します。

→sudo timedatectl set-local-rtc true

3.日本語化残処理

3.1 Language Supportによる日本語化処理

Lite Welcome Windowの"Install Language Support"ボタンを押下し、日本語化残処理を進めます。
日本語化されていないpre-installアプリケーションの日本語化、日本語フォントのインストール、ibus-mozcのインストール&設定がここでは行われます。

"Install Language Support"ボタンを押下
"Install Language Support"ボタンを押下
”インストール”ボタンを押下
”システム全体に適用”ボタンを押下

3.2 LibreOfficeの日本語化

LibreOfficeに関しては、Liteが独自にUbuntu repositoryにあるものよりも新しいLibreOfficeをpre-installしているため、language supportのインストールの中に含まれるLibreOffice日本語化パッケージがバージョン違いによりうまく適用されません。

このためsynapticを用い、Lite独自pre-install対象のLibreOfficeを削除し、Ubuntu repositoryにあるLibreOfficeをインストールし直します。

Libreofficeにインストールマーク、libobasis7.4-libreofficekit-dataに削除マークをつける
libreoffice 7.4に削除マークをつける

以上マークをつけたあと、syanpticの適用ボタンを押下し、各インストール、削除プロセスを実行させます。

以上で、LibreOfficeの置き換え、日本語化が完了します。

3.3 VLCの日本語化

VLCの各国語サポートパッケージをインストールすればVLCの日本語化が完了します。
これはターミナルを起動し、以下コマンドを投入します。

→sudo apt install vlc-l10n


3.4 日本語入力方式 fcitx-mozcのインストールと有効化

language supportのインストールにより、ibus-mozcも合わせてインストールされますが、利用不可状態となります。ibus-mozcを使えるようにする・・という方法もありますが、使い勝手がいまいちなため、ここではfcitx-mozcをインストールし、これを有効化してしまいます。

fcitx-mozcのインストールはターミナルを用い以下コマンドを投入します。

→sudo apt install fcitx-mozc

fcitx-mozcの有効化(ibus-mozcの非有効化も含む)は以下コマンドを投入します。

→im-config -n fcitx

上記処理終了後、システムアップグレードも実行しているため、一旦再起動→loginし直します。

以上で、fcitx-mozcによる日本語入力もOKとなります。

3.5 デフォルトフォントの変更

デフォルトフォントをそのまま利用した場合、whiskerメニュー項目の重なり等も散見され、フォント自体も見栄えが良くないため、デフォルトフォントをnoto cjk jp系フォントに変更します。

デフォルトフォントの変更は、設定マネージャーの外観及びウィンドウマネージャーを使用します。

(1)設定マネージャー→外観→フォントタブでのデフォルトフォントの変更

上記のようにnoto sans cjk jp系フォントへ変更

これでwhiskerメニュー項目の重なりはなくなります(重なりがあっても一旦再起動すれば重なりが解消されます)。

(2)設定マネージャー→ウィンドウマネージャーでのデフォルトフォントの変更

Noto Sans CJK JP Boldへ変更

以上初期設定終了後Lite 6.4はある程度使用に耐えうる環境となります。
次に基本設定にてlogin画面の微調整、Lite Widgetの調整と表示、Firewallの起動を行っていきます。

4.基本設定

4.1 login画面の時刻表示調整

Login画面に表示される年月日&時刻は欧米風の並びの表示になっているため見苦しくなっています。これを、設定マネージャー→LightDM GTK+ Greeter settings→パネルタブにて年月日&時刻表示の順番を修正します。

時刻のフォーマットを上記のように修正し保存ボタンを押下します

以上でlogin画面の年月日&時刻表示の見栄えが良くなります。

4.2 Lite Widgetの修正と表示

Lite Widget(Conky theme)の修正を行います。Lite Widgetのソース(/etc/conky-lite/widget)を直接編集するため、以下コマンドを投入します。
→sudo mousepad /etc/conky-lite/widget

まずLite Widgetの時刻表示部分が欧米風の並びとなっているため、以下115行目のように修正します。

次にLite Widgetの表示にずれが生じるため、以下128行目のように修正します。

以上修正が完了したらmousepadにて上書き保存を行います。これにてLite Widgetの修正は完了です。

次にLite Widgetの起動設定を行います。これは設定マネージャー→Lite Widgetを起動して行います。
Lite Widgetを起動し、”Enable Lite Widget”を押下します

上記処理にてデスクトップ上(右下)にLite Widgetが表示されます。

4.3 Firewallの起動

whiskerメニューの検索ボックスにてfirewallを検索→”Firewall Config”を実行します。

”Enable Firewall”ボタンを押下します

以上でFirewallが起動します。Firewallの設定は、"Firewall"を起動すれば行えます。
上記処理にてFirewallが正常に起動すれば、Lite WidgetのFirewallステータス表示箇所も”disabled"から"enabled"に変化します。


5.評価

Liteのデスクトップについては英語環境のみを正式サポートすると言い切っているため、日本語環境にて発生する諸問題は自己責任で解決する必要があるという解釈に繋がります。英語環境におけるLiteの評価は極めて高くA評価となりますが、日本語環境における利用については、対処無しの場合、問題が多く、デフォルト環境の出来として軽快性を除き全てC評価となるのは致し方ないと思います。ただ、今回紹介した設定内容でConfigを進めていけば、日本語環境でも概ね過不足なく使える状態までもっていけるのも確かですので、今後、Liteについては各国語サポートをより深く行って貰えればと切に願うばかりです。

なお筆者は、今回紹介した設定内容に加え、flatpak、snapsの設定を行い、これらを含め全repositoryの管理を統合的に行えるようにするため、”ソフトウエア”&そのaddonのインストールを実施しています。


このあたりの詳細は、この処理によるLiteへの影響が読みきれなかったため、今回投稿からは外しました。

Linux Lite 6.4・・軽いんですが、日本語環境において使えるようにするための対処は若干面倒なので、万人におすすめとは言い難いのがなんとも。外観が非常にキレイで機能性も◎、軽快性も文句なしですので、あともうちょっとこのあたりの面倒さが緩和されてくれれば・・といったところです。



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