Pop!_OS 21.04 〜Cosmicデスクトップ搭載 ・・4フィンガーアクションで使い勝手抜群の高機能Ubuntu 21.04ベースを検証する!





新たにCosmicデスクトップ搭載のPop!_OS 21.04。開発・メンテナンスは米国System 76が行っています。gnomeに対し相当のカスタマイズが行われており(機能提供は独自のgnome-shell-extensionによる)、今回の主たる機能拡張としてタッチパッドを使った4フィンガーアクションによって、アプリケーションパネルや、Workspaceの表示、ワークスペースの切り替え等が可能・・ちょっとこのあたりはWindows 10のフィンガーアクションに似ていますね(笑。


例えばノートPC等のタッチパッドに4本指をつけ、左側にスライドさせると・・
ワークスペースが表示され(戻すときは逆方向にスライド)・・

4本指をタッチパッドにつけたまま右側にスライドさせると・・
アプリケーションパネルが表示されます(戻すときは逆方向にスライド)。

4本指をタッチパッドにつけたまま手前にスライドさせると仮想デスクトップが切り替わります(戻すときは逆方向にスライド)・・等。

また新たにデスクトップ下部にドックを追加。このドックは設定内容から見てDash to dockよりも高機能では無く、どちらかといえばUbuntu Dockのカスタマイズ版といった所でしょうか。ベースは、Ubuntu 21.04 短期リリースedition。このためGnomeバージョンは、最新バージョン40では無く、バージョン3.38系を使用。検索機能も極めて優秀・・。。
Pop!_OS 20.10と異なるのはこんな所・・。


Window-tiling機能も健在で、ソフトウエア管理ツールPop!_Shopはflatpakとも統合されており、Debパッケージに加えflatpakパッケージもシームレスに扱えます。Ubuntuベース+gnome環境中で最も使い勝手がよくユーザーフレンドリーなものはPop!_OSでしょう。




ちょっと後退した点として、Pop!_OS 20.10の際にはiBus-mozcがpre-installされましたが、今回はkkcがpre-installされ、デフォルトでの日本語入力はできません。ここはなんでやねん・・といった所ですが・・^^;。

今回は、新しいCosmicデスクトップを搭載し、より使い勝手が向上したPop!_OS 21.04のインストール〜日本語化残処理を中心に投稿を進めて行きます。

1.概要

1)ベース:Ubuntu 21.04

2)デスクトップ環境:Cosmic(Gnome 3.38.5ベース)

3)Displayサーバ:X11(Waylandではありません)

4)カーネル:5.11.0-7620-generic
meltdown/spectre HW脆弱性緩和策対応度は・・
まず問題のないレベルとなっています。

2.インストール(GPT/uefiケース)
本体、ブートローダーのインストール先は環境依存となりますので参考になりません。尚デバイス及びパスワードの暗号化オプションがありますが、この指定は任意です。上記では暗号化していません。

3.初期設定

3.1 ようこそ(Welcome)Windowによる初期設定

インストール→再起動→login直後に表示される”ようこそ”Windowを使って初期設定を行います。

ここはデフォルトのkkcで構いません。後で変えます。
ドック無し、ありの指定とドックの最低限の体裁選択。ここはデフォルトで。
設定箇所はないためそのまま”次へ”ボタンを押下
設定箇所はないためそのまま”次へ”ボタンを押下
Wifi設定はここで・・
ここをOnにすると、天気予報等の表示設定が周辺地域に自動設定されます。
Goolgeのアカウントを設定すると例えばカレンダーがgoogle calendarと同期されます。

3.2 repositoryの最適化、アップデート/アップグレード処理

Ubuntu repositoryはデフォルトで、米国内サーバーがセットされているため、アプリケーションインストール/アップデートの際、時間がかかります。高速化するため、ここは国内サーバーに変更する必要があります。

まずPop!_Shopを起動し、Pop!_Shop タイトルバー右側の設定アイコン(歯車アイコン)を押下、software sourceを変更します。

上記反転箇所(ubuntu repository記載箇所)でマウス左ボタンクリックし入力可能にします。
http://us.・・をhttp://jp.・・に書き換えエンターキーを押下します。
以上で一旦Pop!_OS Shopの設定Windowを終了し、ターミナルを起動後、以下コマンドを投入・・アップデート・アップグレード処理を行いつつ、repositoryが切り替わっている事を確認します。

→sudo apt update && sudo apt upgrade

以降は、Pop!_Shopにより、アップデート/アップグレード処理が可能です(Synapticはインストールされていません)。

3.3 時刻の調整

Windowsとのデュアルブート時、Pop!_OS使用後、Windowsを利用すると、WIndows側の時刻が狂います。このためターミナルを起動し、以下コマンドを投入する事によってこの狂いを収拾します。

→sudo timedatectl set-local-rtc true


4.日本語化残処理

4.1 日本語入力環境のインストールと設定

日本語指定でインストールするとpre-installアプリケーションの日本語化は完了するタイプです。このため、日本語化可能なpre-installアプリケーション、システムメニューはインストールの段階ですべて日本語化されます(システムメニューで日本語化されない所は、主にPop!_OS独自機能の箇所です)。ただし、日本語input method:iBus-mozcについては別途インストール&設定が必要です。このインストール&設定方法は2通りあります。一つは、”設定”を起動→”地域と言語”を選択→”インストールされている言語の管理”を選択して、いわゆるUbuntu系のLanguage Supportを起動する方法・・・

右側Windowのインストールボタンを押下→iBus-mozcがインストールされます。
右側Windowの”キーボード入力に使うIMシステム”としてiBusを選択→”システム全体に適用”ボタンを押下し一旦再起動。

もう一つは、コマンドで、iBus-mozcをインストールし、この後、”設定”を起動→”Keybord”を選択→iBus-mozcの設定を行う方法です(これは主にGnome 40を採用している他Distributionでの設定方式です)。

iBus-mozcのインストール:ターミナルを起動し、sudo apt install ibus-mozc を投入
インストール後、一旦再起動

”設定”を起動後Keyboardを選択
+ボタンを押下→”日本語(Mozc)”を選択し、追加
kkcを削除(kkc右横の縦に3つの”・”がある箇所を左ボタンクリック→表示されるメニュー中の”削除”を選択)

以上、どちらの方法を使用しても構いません。

この後、パネル上のIM-Indicatorの箇所をマウス左ボタンクリックし、日本語(Mozc)を選択すればiBus-mozcによる日本語入力が可能となります。

半角/全角キー押下で日本語入力切り替えが行えます。

4.2 デフォルトフォントの変更

これは、gnome-tweaksを使用し(インストールは、sudo apt install gnome-tweaks)、noto-cjk-jp系フォントへデフォルトフォントを変更します。


5.基本設定

Window tilingをOnにする設定は以下参照・・。


またはショートカットキー:Windowsキー+Y でも切り替え可能・・。

デスクトップオペレーションのほとんどはショートカットキーで可能ですので、”設定”→”Keyboard"からショートカットキー定義を確認しておくと更に使いやすくなります。

6.評価

機能性:S、使いやすさ:S、インストール→初期設定→日本語化残処理の平易性:B+、安定性:A、軽快性:B

となります。

今回は使いやすさという評価項目を設けSランクとしました。タッチパッドを使った4フィンガーアクションによる挙動や、検索機能、Window tiling等他のUbuntuベースでは見られない使いやすさを実現しています。

若干、日本語入力の箇所は残念でしたが、これを差し引いても見事な出来だと思います。メモリー消費量はGnome 3.38.5なので、ちょっと使用すると平気に1Gを超えていきますが、Windows 10と比較すると、かわいい物です(笑。

元々開発環境として人気が高くなりましたが、今では通常使用においても、◎。間違いなく、本年紹介したDistiributionの中で、筆者お勧め、一押しの1本となります。



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