elemetary OS 5.1 "Hera" 〜シンプルさと美しさを追求したUbuntu 18.04.3ベースを検証する!


Ubuntu 20.04 LTSがリリースされる半年前のこの時期にリリースされるUbuntu 18.04ベースは、概ね、Ubuntu 18.04.3 LTSベースとなり、さらにHWEを適用する事により最新のHW対応を行った上で、Ubuntu 20.04 LTSへのスムーズな移行を図ります。前回投稿したZorin OS 15 Liteと同様、本elementary OS 5.1もUbuntu 18.04.3 LTSベースとなり、HWEの適用を行っています。また、今月クリスマス時期にリリースされるLinux Mint 19.3に関しても、Ubuntu 18.04.3ベースとなり、HWEの適用を行う予定となっています。いよいよUbuntu 20.04 LTSのリリースが近くなってきた事を実感します。


さて、世界的に人気の高いelementary OSの最新版elementary OS 5.1 "Hera"ですが、デスクトップ環境としてPantheon、Window managerとしてMutterベースのgalaを採用しています。適度なデスクトップ効果を備えた非常にきれいなデスクトップであり、Mac OSに似た外観を提供しますが、gnome 3.28環境(Window managerはMutter)のコンポーネントを多数梱包しているにもかかわらず、gnome3とはその方向性を異にしています。まずLinuxでは当たり前のカスタマイズをしなくてもready to useとなる事、シンプル、No document(いわゆるマニュアルlessで使える)・・主にこの3軸を中心に開発が進められています。このため実環境においては、デスクトップの設定変更は必要最低限に抑えられており、事実上、外観の変更等はできない状態となっています。次にシンプルさを追求している事から、外観のシンプルさに加え、操作性が一般的なUbuntuベースとは異なります。ワークスペースのスイッチ、壁紙変更等の操作は明らかに異なりますので注意が必要です。マニュアルlessで使えるか・・という点はelementary OSのサポートページを読んでから・・という前提をクリアーしないと難しいでしょう。前述した操作性の違いを認識するためには最低限この作業は必要となっています(日本語で読めます)。

https://elementary.io/ja/support

当初のelementary OSの日本語化に関しては、非常に難易度が高く、加えて日本語化結果の安定性・品質が最悪であった事はelementaryを長く見てきた方にとって理解できる話ではないかと思います。elementary OS 5.0の段階で、この状況は、かなり改善されましたが、pre-installされるibus-mozcに関しては、問題が多く、筆者が、IMをfcitx-mozcに切り替えて問題を収拾せざるおえなかった事は記憶に新しいところです。さて今回はどうか・・という点は後述します。

pre-installアプリは最低限のもので軽めのアプリケーションのみインストールされます。office suiteは入っていません。pre-installされるアプリケーションのみ使って日常の処理が過不足なく行えるかといえば、少なくともOffice suiteを使う場合、画像処理を行う場合に関してはアプリケーションの追加インストールは必要・・という事になってきます。

さて、login直後のメモリー消費量ですが、gnome 3.28のコンポーネントを多数搭載している割には、Xfce 4.14を搭載するUbuntu base/Debian baseと同等あるいはそれよりも少ないメモリー消費量となっており、極めて優秀。デスクトップの美しさ、シンプルさも手伝って、世界的に人気の高いDistributionとなっているのも頷けます。

と・・言うことで前置きが長くなりましたが、elementary OS 5.1 "Hera"に関して投稿を進めていきます。


1.概要

1)ベース:Ubuntu 18.04.3 LTS(HWE適用済み)

2)デスクトップ環境:Pantheon

3)Windows manager : gala (Mutter base)

4)カーネル:5.0.0-37-generic

5)ショートカット
デスクトップショートカットに関しては、他のUbuntu baseとは異なるケースがあるため、デスクトップ操作のためには上記スクリーンショットのショートカット定義の内容を押さえておく必要があります。


2.インストール(GPT/uefiケース)

本体及びブートローダーのインストール先は環境依存となりますので参考になりません。

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3.初期設定、システムアップデート・アップグレード

1)初期設定

インストール→再起動すると表示される初期設定windowにて行います。
ここでは、位置情報サービスのOn/Off、夜間モードのOn/Off、自動削除のOn/Offを行います。筆者は、位置情報サービス→On、夜間モード→On(夜間になると色調が変化し目の疲れを緩和します)、自動削除→Onとしています。
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2)システムアップデート・アップグレード

これは、elementary AppCenterを使って行います。
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ちなみにUbuntu repositoryは国内サーバーにセットされていますので、変更の必要はありません。

4.日本語化残処理

1)デスクトップの日本語化

pre-installアプリを含めたメニュー等の日本語化に必要なJapanese language packは、日本語指定でインストールすれば合わせて導入されますので、何もする必要はありません。ただし、pre-install対象ではないFirefoxや、Thunderbird、Libreofficeを追加インストールする場合は合わせてそれぞれの以下Japanese language packをインストールする必要があります。

Firefox→firefox-locale-ja

Thunderbird→thunderbird-locale-ja

Libreoffice→libreoffice-l10n-ja

上記Japanese language packのインストールは、コマンドあるいはsynapticを追加インストールして実施するという流れとなります。elementary AppCenterから、これらJapanese language packはインストールできないため注意が必要です。

2)日本語入力

日本語指定でインストールすると、Japanese input methodとしてiBus-Mozcがインストールされますが、これはまっとうに動作しません。
このためfcitx-mozcをインストールします。
→sudo apt install fcitx-mozc


次に明示的にiBus-Mozcからfcitx-mozcに切り替えてしまいます。
→im-config
OKボタンを押下
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Yesボタンを押下
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fcitxを選択し、OKボタンを押下
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以上処理完了後、logout/loginでfcitx-mozcによる日本語入力が滞りなく行えるようになります。

5.基本設定(一部応用設定が含まれます)

1)外観の変更

さて前述したとおり、elementaryは、外観の設定機能(デフォルトフォント設定や、テーマ変更を司る機能等)をpre-installしません。外観の変更等を実施するためには、以下の手順にそってelementary tweaksをインストールする必要があります。

・software-properties-common のインストール
→sudo apt install software-properties-common

・elementary tweaksのPPA設定
sudo add-apt-repository ppa:philip.scott/elementary-tweaks

・elementary tweaksのインストール
→sudo apt install elementary-tweaks

以上処理が完了すると、システム設定パネル中に"Tweaks"が表示され、これを選択・実行するとelementary tweaksが起動し、elementaryの外観の変更が行えるようになります。
筆者はデフォルトフォントをnoto sans cjk jp系に変更しています。
テーマ等に関しては以下のように変更しています。
テーマは、https://www.gnome-look.org/からお好きなものを。置き場所は、ダウンロード後、解凍した上で以下のディレクトリーに置けば、elementary Tweaksを使用してテーマ変更が可能となります。

・アイコンテーマ→ホームディレクトリー直下の .icons/

・GTKテーマ→ホームディレクトリ直下の .themes/

特にGTKテーマに関しては、elementary 5.1のGTKバージョン(3.22.30)に注意して選択する事が必要です。

2)デフォルトアプリケーションの変更と自動起動

デフォルトアプリケーションの変更及び、startup(自動起動)の設定は、システム設定パネルの”アプリケーション”を選択・実行する事によって行えます。

”デフォルト”タグではデフォルトアプリケーションの変更、”起動時に実行”タグでは、startupの定義が行えます。

さて、デフォルトアプリケーションは、pre-installアプリが事前設定されています。
webブラウザーが、Epiphany、メーラーが、pantheon mail、カレンダーには、google calendar等との連携が取れる独自のものが設定されています。メーラに関しては、Thunderbirdほどではありませんが、割に容易に設定可能です。
カレンダーは、google calendarとの同期は可能ですが、2段階認証をおこなっている場合は、google側で2段階認証の例外登録が必要です。

これらデフォルトアプリケーションは、elementaryとタイトにインテグレーションされているため、変更した場合は、一部デスクトップ機能が使えない場合があります。

筆者は、デフォルトアプリケーションとして、メーラーをThunderbirdに、webブラウザーは、Google Chromeに、テキストエディターはgeditに変更しています(Thunderbird、Chrome、geidtは別途インストールが必要です)。
Chromeのインストール方法は本ブログでも取り上げましたが、googleサイトから、debパッケージをダウンロードした後、依存関係もインストールする必要があるため、dpkgは使わず、必ずgdebiコマンドでインストールする必要があります。

参考までに、”起動時に実行”タグでは、デスクトップにconkyを表示させるため、conkyの自動起動shellを設定しています。


6.その他設定

libreofficeがpre-installされていない事、elementaryカレンダーと2段階認証のGoogleカレンダーとの同期はGoogle側の例外登録が必要なため、筆者は、Office Online(Libreofficeはとりあえずインストールしてますが)とgoogle calendarをpeppermit OSのiceをインストールし設定しています(使用ブラウザはgoogle chrome)。

詳細は以下を参考に・・
https://www.linux-setting.tokyo/2018/12/linux-mint-191-tessa-xfce-editionlinux.html

ただし、最新のice 6.0.6が取れるようになっていますので、ice 6.0.6を使用したい場合は以下アドレスからダウンロード&インストールが必要です。。
https://launchpad.net/~peppermintos/+archive/ubuntu/p10-release/+files/ice_6.0.6_all.deb


6.評価

軽快性:A、インストール・初期設定の平易性:A、日本語化残処理の平易性:B+、基本設定の平易性:B、機能性:B

となります。まだ依然として、日本語で使用するためには、細かい所で調整が多々必要になりますが、前よりもよっぽどましです。軽快性や、pre-installアプリを除くデスクトップ環境の機能性は◎ですが、pre-installアプリが数、機能面ともに不足しているといった所は否めないため全体的な機能性は低めに見えます。

軽快性は十分であり、デスクトップの挙動や美しさも◎。一旦設定してしまえば長く使えるDistributionに仕上がります。ただし、英語圏以外では、まだ設定面の課題が多く、日本国内では、Linux中上級者向けのDistributionとなります。


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