SparkyLinux 4.9.2 〜軽快&安定度抜群! Debian stable(Stretch) LXDEベースを試す(設定上の罠あり)!

SparkyLinux 4.9.2・・Debian stable( stretch) LXDEベース。SparkyLinuxはSparkyLinux 5.7がつい先日リリースされたばかりですが、5.7はDebian Testing(Buster) LXQtベース。
SparkyLinuxにはDebian stableリリースラインと、Debian testingリリースラインの2系統あり、前者の最新版が、現在4.9.2。後者の最新版が5.7となっています。

割にリリースの都度何かが起こる・・っていうスリル満点のDistributionでしたが(笑、現在は割にまっとうな感じで、 インストール・基本設定・日本語化が普通に完了するタイプのDistributionとなっています。

Debianを使用する場合、Debian testingなのか、Debian stableなのか・・という選択をするわけですが、 一般的な常時使い用途では、stableを選択するのが普通です。stableは、安定性に重きをおき、testingは安定性よりも機能性に重きをおくためです。

したがって、新機能や最新のアプリケーションを試したいという特別な事情がない限りは、常時使用にはstableを使用するのが鉄則です。

この観点から言えば、SparkyLinuxも5.x(Testing)よりも4.9.x(stable)を使用するっていうのが、常識的な選択ですが、初期導入時の出来からみれば、むしろ、5.xのほうが良くて、4.9.xがイマイチという感じを筆者は持っています(LXQtとLXDEの差はありますけど・・)。

開発元の力の入れ具合に関連することですが、SparkyLinuxの場合、明らかに、当初の出来は、5.xのほうが良かったりすることが多く、基本設定時の難易度は、問題収拾という観点で、4.9.xのハードルは若干高くなってしまっているという問題があります。

ただ、この設定上の問題さえ回避すれば、無論、SparkyLinux4.xの安定性はDebian stableと同期が取られ、常時使いには、SparkyLinux 4.9.xの方がおすすめという事になってきます。

今回は、SparkyLinux 5.7 debian testing(Buster)ベース・・ではなく、SparkyLinux debian stable(Stretch)ベースの最新版4.9.2を取り上げ、設定上の注意事項を中心に投稿を進めていきます。


1.概要

1)Base: Debian Stable(Stretch)

2)デスクトップ環境:LXDE

3)カーネル:4.9.0-8

Meltdown・Spectre HW 脆弱性緩和策適用度は以下の通り。
 まず問題のないレベル・・。

つい最近、新たなSpectre/meltdownとは似て非なる致命的HW脆弱性:Spoilerが公表されており、果たしてこれに今後どのように対応していくのか・・内容から見れば、Spectre以上にIntel CPUの影響範囲が広く、緩和策が難しい状況となっており、CPUアーキテクチャの変更しか対策はなさそうですが、今後の動向を見守っていく事にしています。

ようやく、Debian/Ubuntu baseではMeltdown/Spectreの緩和策適用がある程度なされた時点で、このSpoilerの公表はかなり厳しいところですが。。

2.インストール

インストール自体は簡単ですが、日本語化は、インストール→再起動後表示される初期設定スクリプトによって完了するタイプです。インストールの流れは以下の通り。 

インストールメディアを使ったブート時の初期メニューで"Languages..."を選択
 ↓
Language選択画面からJapaneseを選択しブート

 ブート後のインストールの流れは以下の通り。。

3.初期設定

日本語化残処理を含め、初期設定は、インストール→再起動→login直後に表示される初期設定メニュー(初期設定スクリプト)により完結します。
 ↓
システムアップデート・アップグレードのキック
 ↓
 ↓
不足localeパッケージのインストール画面に移行
 ↓
言語を選択→Japaneseを。。
 ↓
OKボタンを押下→fcitx-mozc等のJapanese不足パッケージのインストール
 ↓

でfcitx-mozcによる日本語入力もOKとなります。無論メニュー等の日本語化も完了。。

4.基本設定

1)repositoryの最適化

sparky repositoryは、ポーランドにあり、Debian stable(Stretch)のrepositoryはWorldに設定されています。

ポーランドのsparky repositoryは変えようがありませんが、Debian stableのrepositoryは国内サーバーに変更する事によって、頻繁に発生するDebian stableのセキュリティパッチ等に関しては比較的高速に適用する事ができます。

repositoryの変更は、synapticを使い・・設定→リポジトリから・・

具体的には、"ftp.debian.org"の箇所を"ftp.jp.debian.org"に変更します。

 ↓

上記処理後、synapticの”再読込”ボタンを押下して終わり・・。

2)問題の収拾

SparlyLinux 4.9.xには、当初からいくつか問題があります。これは4.9.2になっても修正されていません。pre-installされているツールやアプリケーションがまっとうに動作しないという問題のため、基本設定の一部として収拾方法をここでは書きます。

① ”LXSessionのデフォルトのアプリケーション”が起動しない問題に関して

Xfce4の各種設定に関しては、設定マネージャーでまとめられています。LXDEでは、もともと設定項目を一箇所にまとめた機能性はありませんが(分散しています)、SparkyLinux 4.9.2ではこれを、Sparky Center LXDEとしてまとめて提供しており、Xfce4の設定マネージャーと同等の機能性を提供しています。

Sparky Centerの”デフォルト”タグには以下のようなLXDE設定項目がありますが。。
自動起動等を設定できる”LXSessionのデフォルトのアプリケーション”が起動しません。
これはメニューから起動しようとしても同様です。
この収拾のためには、synaptic等から"lxsession-default-apps"をインストールします。
 ↓
これで”LXSessionのデフォルトのアプリケーション”が起動し、自動起動設定等が行えるようになります。

本問題はインテグレーションミスの結果生まれており、さらに本内容をリリース前にテストしていないって事もNGです。


② VLCが起動しない問題に関して

LXDEのアプリケーションメニューからVLCを選択しても起動しません。
状況確認のため、ターミナルからVLCを起動すると以下のようなメッセージが吐き出されます。

上記メッセージがVLC起動時に出力される原因は、VLCアイコン(vlc.svg)が現在使用しているアイコンセットディレクトリに存在しない場合です。このためデフォルトのアイコンセット"Ultra-Flat-Icons"から試しに"nuovexT2.2"に変更すると・・
 ↓
 VLCが立ち上がるようになります。

上記問題は、使ってるデフォルトアイコンセットの構造がVLC起動上まずかったという事で・・対策としては、違うアイコンセットから、vlc.svgをデフォルトアイコンセットのディレクトリにコピーするか、あるいは、デフォルトアイコンセットからvlc.svgが既定の場所に存在する違うアイコンセットに変更する・・という事になります。

いずれにしても上記2点の問題は、テストが十分に行われていない事に起因します。stable editionなので、このあたりのテストが漏れた状態でリリースするっていうのは、改善の余地ありっていう事でしょう。

5.応用設定:透過処理/Composite Managerに関して

SparkyLinux 4.9.2にはComposite managerとしてComptonがインストールされています。Comptonの設定は割に面倒で一般的にはconfigファイルを書きますが、SparkyLinux 4.9.2にはComptonの設定マネージャが搭載されていますので自分で書く必要はありません。まずComptonに関する設定は、Sparky Center LXDE→"外観"タグから。。
Compton Managerを選択・実行
Comptonの起動は、”Start Comptonの開始”を選択してOKボタンを押下。ただし自動起動にはならない。
”Comptonの設定”を選択しOKを押下すると、Comptonの設定画面に移行
”影”タグの”ドックやパネルの影を描画しない”のチェックを外す
適用ボタンを押してcomptonのconfigファイルに吐き出します
これでplankや、conkyに不要な影が出る事を防ぐ事ができます。

Comptonをlogin時に自動起動するには”LXSessionのデフォルトのアプリケーション”から。。
これでComptonの設定、自動起動処理は終了します。

6.評価

機能性:A、安定性:A、品質:B、軽快性:A、インストール・日本語化・基本設定の平易性:B

こんな所です。SparkyLinux 4.9.2にはインテグレーション上の問題はありますが、収拾後は◎の環境です。

login直後のメモリー消費量は500MB近辺となりますので、Xfce4ベースのSolydX 9 201902よりも多くなります。

またcomptonの初期設定内容から、LXDEとしては割に強めのwindow効果がかかりますが、軽快性(レスポンス)はかなり良い部類に入ります。

SparkyLinux 5.7と比較すると、SparkyLinux 4.9.2の軽快性はほぼ互角です。

インストール直後の完成度は、5.7(testing)が上ですが、安定性を重視する場合は、4.9.2 (stable)を選択した方が良いでしょう。

設定・問題収拾後は◎の環境となり、おすすめの一本となります。中級者向きのDistributionではないかと。。

ちなみに冒頭及び以下のスクリーンショットでは、plankや、conkyの追加インストール&設定、壁紙&アイコンテーマ等に関しては変更しています。またパネル位置も変更しています。

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