Ubuntu 18.04 LTS 10年サポートアップデート〜Ubuntu Core 18のプレスリリースから読み解く・・


OpenStack Summit Berlin 2018にて、Canonical CEOのMark Shuttleworthが、Ubuntu 18.04 LTSのサポート期間を従来の5年から10年にするとの発表を基調講演の中で行ったわけですが、おそらくこれは、標準サポート5年(無償)+ESM(有償サポート)5年という意味なのでは?という意味を暗にindicateする記事を、本ブログに昨年投稿しています・・。

https://www.linux-setting.tokyo/2018/11/ubuntu-1804-lts.html

今回、IoT向けUbuntu・・Ubuntu Core 18がリリースされたため、このプレスリリースや、本件に関わるUbuntu Q/A等を再度読み込んでみました。これは今回の10年サポートを発表した要因となる産業エリアの中に、金融+テレコムに加え、IoTが入っているためです。

今回の混乱は、Mark Shuttleworthが10年サポートに関し、無償なのか、有償なのか、さらに無償5年、ESM(有償)5年なのか等・・はっきり言っていない・・あるいは、Mark Shuttleworthは、ちゃんと言っているんだけどプレスが聞き逃したのか・・とにかく以下文章が独り歩きしたため、混乱を生む結果となっています。

“I’m also delighted to announce that Ubuntu 18.04 will be supported for a full 10 years. In part because of the very long time horizons in some of those industries, financial services and telecommunications, but also in the IoT where manufacturing lines are being deployed that will be in production for at least a decade.”

確かにここでは、具体的なサポートマトリックスの説明はされていませんので一般のデスクトップも10年サポートに含まれる・・という解釈が生まれそうです。ただ、よくよく読み込むと、特定のインダストリに向けて10年サポート・・という意図は汲み取れます。また10年サポートが、有償か、無償かも一切触れていません。

さて、では、先日発表されたIoT向けOS Ubuntu Core 18ではこの10年サポートに関しプレスリリースの中で、どう表現しているかと言えば・・・・

"Ubuntu Core 18 will receive 10 years low-cost security maintenance, enabling long-term industrial and mission-critical deployments. Updates are delivered with a device-specific SLA, ensuring that change is managed by the manufacturer or the enterprise and providing a rapid response to any vulnerabilities that are detected over the device lifetime."

赤字の箇所が極めて重要ですが、Ubuntu Core 18は、10年間、low-cost security maintenanceの提供がされる・・と言っています。すなわちlow-costであって、無償(free-charge)とは言っていません。

さらに、10年サポートのアナウンスがあった後に更新されたUbuntu Wikiの”Releases”pageは、以下のようになっています。

https://wiki.ubuntu.com/Releases

これを見る限り、やはり、Ubuntu 18.04 LTSに関しては、標準5年サポート(無償)+ESM(有償サポート)5年で、合わせて10年サポートの実現と読み取れます。

Ubuntu Core 18がこのサポートマトリックスに追従するのかどうかはまだわかりませんが、5年無償、5年ESM(有償)ならば、10年に薄めると・・low-costになるわな・・と筆者的には考えています。

次に、 上記wikiページを参照させるるUbuntuホームのQ/Aがあります。


1.Question 

2.Answer

回答の中では、wikiを参照させていますが、wikiの方向性は、無償サポート5年+有償サポート5年です。更にDesktopパッケージは、unlikelyと言い切っている事から、10年サポートの可能性は低い・ありそうもない・・すなわち今までの標準の無償5年間サポートのままの可能性が高い・・という解釈となってきます。

いずれにしても、Q/Aの中では、Ubuntu 18.04 LTS 10年サポートに関し、公式な具体的決定は、まだなされていないとも言っていますので、Desktopパッケージに関する記述内容も踏まえると、Ubuntu 18.04 LTS デスクトップ版も当然10年サポート・・と、現在、言い切っちゃうのは極めて危険です。

少なくとも、現在のUbuntuサポートチームのドキュメント、Q/Aや、Ubuntu Core 18のプレスリリースでは、標準5年(無償)+ESM(有償)5年=サポート期間合計10年という構図が強く読み取れますので、このあたりは注意が必要です。

しかもこの10年サポートの考え方は、Canonical及びEnd user双方のメリットを考えると、金融、テレコムのサーバー分野、及び、Ubuntu Core 18が適用されるIoT産業エリアに、事実上限定されて適用される可能性が高いと踏んでいます。

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