Fedora 36 〜Gnome 42搭載・・インストール&初期設定&日本語化残処理(fcitx5-mozc) step by step!・・Linux Mint-WebAPPのインストール方法についても言及します・・



ようやくFedora 36リリースです。Gnome  42搭載、カーネルは5.17シリーズ・・。FedoraはRHELの実験的Distributionとも言われ、最新の技術を積極的に取り込んでくる事で知られています。パッケージ管理には基本dnfコマンドを使いますが、Gnome 42の”ソフトウエア”を使用する事によって、rpmパッケージとflatpakパッケージを統合的に管理(ソフトウエアインストール・削除・アップデート)する事が可能です。ただし、flatpakについては、”インストールできるソフトウエア等”が制限されていますので、必要に応じて対応が必要です。

前回、Fedora 35の投稿の際には、主に日本語入力method:fcitx5-mozcのインストール・切り替え・設定に関して解説しましたが、今回は、このfcitx5-mozcのインストール・切り替え・設定に加え、Fedorab 36のセットアップをstep by stepで少し細かく解説していきます。

インストールに関してはSecure Boot Onの状態で行っていきます。

1.概要

1.1 デスクトップ環境:Gnome 42.1

1.2 ディスプレイマネージャー:Wayland


1.3 カーネル:5.17シリーズ


1.4 パッケージ管理:dnf、flatpak、”ソフトウエア”による

2.インストール(GPT/uefi、Secure Boot On)

”Try Fedora"を選択
”Install to Hard Drive”アイコンをクリック
”時刻と日付(T)”を選択
"インストール先(D)"を選択
インストール先DISKを指定し、”完了”ボタンを押下
インストール先DISKをクリアーするため、”すべて削除”ボタンを押下(DISK全体をFedoraインストール先とするため)
”領域の再利用(R)”ボタンを押下
”インストールの開始”ボタンを押下
”インストールの終了(F)”ボタンを押下し再起動・・

注意)インストール先は環境依存となるため参考になりません。

再起動すると初期設定Windowsが表示されますので、指示に従い設定していきます。

”サードパーティーのリポジトリを有効にする(E)”ボタンを押下
必要に応じてgoogleアカウント等の設定を実施。カレンダー等に反映されます
ユーザーアカウントを設定
設定したユーザーアカウントのパスワードを入力
”Fedora Linuxを使い始める(S)”ボタンを押下
”いいえ結構です”ボタンを押下

3.初期設定

3.1 Fedora repositoryの最適化とシステムアップデート

/etc/dnf/dnf.confを管理者権限でtext editor等を使用しOpen(text editor等を使用し)して、末尾に以下2行を追加し保存します。

fastestmirror=True
max_parallel_downloads=10

上記処理終了後、ターミナルを使って以下コマンドを投入し、システムアップデートを完了させます。

→sudo dnf update

3.2 Flatpak repositoryの追加とFlatpak update

flatpakに関しては・・インストール直後では、制限された範囲のソフトウエアしか扱えません。このため、flathubを追加し、本制限を解除します。

このためには、ターミナルを使って以下コマンドを投入します。
→flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo

次にflatpakのソフトウエアアップデートを行います。このためにはターミナルを使って以下コマンドを投入します。

→sudo flatpak update

通常は、管理者権限を使わなくてもOKですが、Fedora 36はシステム周りでもflatpakパッケージを使用していますので、ここでは管理者権限でflatpakソフトウエアアップデートを行っています。

3.3 Gnome環境カスタマイズツールのインストール

ここでは、Tweaks、拡張機能のインストール、Firefoxへのgnome-shell-integration add-onのインストールを行います。Gnomeカスタマイズのために必要です。

1)Tweaks、拡張機能のインストール

これは”ソフトウエア”を使ってインストールします。



”ソフトウエア”を使って、それぞれGnome Tweaks、extensionで検索すれば容易に見つかります。extensionで検索した結果では、漢字で拡張機能と表示されている対象をインストールしてください。

2)Firefoxへgnome-shell-integration add-onのインストール

Firefoxを使って、gnome-shell-extensionをインストールする際に使用します。

”アドオンを探す”欄にgnome-shell-integrarion"を入力しエンターキー押下
”GNOME Shell integation”を選択
”Firefoxへ追加”ボタンを押下
”追加”ボタンを押下
”OK”ボタンを押下

Firefox等Webブラウザを使わなくてもgnome-shell-extensionをインストールする事ができます。
この場合は、ソフトウエアを使って、Extension Manager をインストールしてください。

4.日本語化残処理

4.1 デフォルトフォント設定(オプション)

デフォルトフォントの変更はオプションです。
筆者はデフォルトフォントをnoto-sans-cjk-jp系フォントに変更しています。見栄えが良いためですが、これは人によって変わってきます。
デフォルトフォントの変更は、先にインストールした Tweaks を使って。


4.2 日本語入力環境設定

Fedora 36は、デフォルトの日本語入力methodとしてibus-anthyが利用可能となっています。ここでは、Waylandに対応したfcitx5-mozcをインストールし、ibus-anthyから切り替えて使用します。

1)fcitx5-mozcのインストール

ターミナルを使って以下コマンドを投入します。

sudo dnf install fcitx5 fcitx5-mozc fcitx5-autostart fcitx5-qt fcitx5-gtk fcitx5-configtool

2)ibusからfcitxへ切り替え

ターミナルを使って以下コマンドを投入

sudo alternatives --config xinputrc
選択番号として2を入力


3)fcitx5環境変数の設定

ホームディレクトリ直下の.configディレクトリにenvironmrnt.dディレクトリを作成します。

→mkdir ~/.config/environment.d

~/.config/environment.d ディレクトリ配下に"00-fcitx5.conf"を以下の内容で作成します。

INPUT_METHOD=fcitx5
GTK_IM_MODULE=fcitx5
QT_IM_MODULE=fcitx5
XMODIFIERS=@im=fcitx5

4)パネルにim-indicatorを表示

Firefoxを起動し、上記Firefoxメニューバーの赤枠のアイコンをクリック
Gnome Shell Extensionsページに飛びますので、検索ボックスに kimpanel と入力し、エンターキー押下→検索結果として Input Method Panelが表示されますので、これをクリック
”OFF”と表示されている左側ボタンを右側にスライド
インストールを選択
以上で一旦再起動します。

5)fcitx5設定

パネルにim-indicatorとしてキーボードアイコンが表示されますので、この上でマウス右ボタンクリック→表示されるメニュー中の 設定 を選択します。
左側ボックスの キーボード-英語(US) を右側ボックスに移動、右側ボックスから キーボード-日本語を左側ボックスに移動→左側ボックスの キーボード-日本語 を最上位へ移動
”適用”ボタンを押下
怒られますが、”Yes”ボタンを押下

以上で、Fcitxの設定ウィンドウを閉じ、パネルのキーボードアイコン上でマウス右ボタンクリック→表示されるメニュー中の 設定をリロード を選択します。

これでfcitx5-mozcの設定は完了です。

fcitx5-mozcによる日本語入力もこんな感じで行えるようになります。



無論検索ボックスに対する日本語入力もOK。。

5.その他設定に関して

5.1 冒頭スクリーンショットのデスクトップ構成に関して

冒頭のスクリーンショットでは、Dash to DockをFedora 36デスクトップ上に表示させているように見えますが、まだDash to Dockは、Gnome 42上で利用可能になっていないため、gnome-shell-extensionとして、Dash to Dock for COSMICを使用しています。これは、ついこの間リリースされたPop_OS 22.04のドックと同じものです。

上記を含め、筆者が自分でインストールして利用しているgnome-shell-extensionは以下の通りです。
また、Fedora 36デスクトップで筆者がインストール&使用している各種テーマは以下の通りです。



5.2 Linux Mint WebAPP(ウェブアプリ)のインストール方法に関して

Linux MintのWebAPPもFedora 36上で利用可能です。インストール方法は以下の通りとなります。

ターミナルを使って以下コマンドを順次投入します。

→sudo dnf copr enable refi64/webapp-manager
 sudo dnf install webapp-manager

これでLinux MintのWebAPPが利用可能となります。

6.評価

機能性:S、安定性:A、インストール〜日本語化残処理の平易性:B+、軽快性:B+

となります。Fedora 36は、ThinkCentre M75q Gen 2でセットアップしましたが、Secure Boot配下でも問題なくインストール&設定できました。また、Ubuntu 22.04 LTS及びそのフレーバー上では、Wifiの挙動が全く安定せず、ネットスピードも激遅でしたが、本Fedora 36では全くWifi利用上の問題は発生していません。Ubuntu 22.04 LTS系のカーネルは5.15シリーズ、Fedora 36のカーネルは、5.17シリーズとなっていますが、Ubuntu 22.04 LTSのカーネルバージョンでは、M75q Gen2のCPU:AMD Ryzen™ 5 PRO 5650GE+Wifi:Intel Wireless AC 9260構成に対応しきれなかったものと考えられます。

Fedora 36の機能性については紹介できませんでしたが、Gnome 42の機能性とFedoraの機能性がうまく融合され、非常に出来は良いものと思います。

特にZen3世代のAMD APUを使用していて、Secure Boot配下でインストール・設定して問題なく利用できるLinuxとしては、Fedora 36は◎です。

筆者的にはかなりオススメの1本となります。

注意)Fusion repositoryは今回使用したハードウエア構成では必要なかったため設定対象には入れていません。またflatpakもあるため、アプリケーションインストールでも不要と判断しました。ただし、ハードウエア構成として、nvidiaグラフィクスカードを追加している環境では、間違いなくFusion repositoryが必要となりますので、注意ください。Fusion repositoryを使用したnvidiaグラフィクス設定もそこそこ込み入った内容となるはずです。





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